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2020年に相続登記が義務化されるってホント?相続登記しないとどうなる?

2019年09月10日
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2020年に相続登記が義務化されるってホント?相続登記しないとどうなる?

平成31年2月8日、所有者不明土地問題を解消すべく、法務省が相続登記の義務化を軸とする民法と不動産登記法の見直しを発表しました。法務省は令和2年の臨時国会には具体的な改正案を提出する意向を表明しています。

現在のところ、相続登記は義務ではなく任意とされていますが、なぜ義務化することになったのでしょうか。そもそも相続登記をされていないとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

1、民法・不動産登記法改正の4つのポイント

法務省が検討を進めている民法・不動産登記法の改正内容には4つのポイントがあります。それぞれのポイントが改正されることによってどうなるのか、その背景ともに解説します。

  1. (1)相続登記の申請を義務化

    民法・不動産登記法改正の主軸となっているのが、相続登記の申請の義務化です。これまで、相続人が不動産を相続しても、相続登記は法的義務ではなく、任意とされていました。つまり、相続登記するかどうかは、各相続人の判断に委ねられていたのです。その結果、土地所有者が誰なのかがわからない事案が日本各地に発生するようになりました。そこで、相続登記を義務づけることで、日本国内すべての土地の所有者が明確にわかる状態を作ろうとしているのです。

  2. (2)所有権放棄を認める制度の創設

    相続登記を義務づけると、「遠方に住んでいて管理ができないので土地を手放したい」という方まで相続登記や固定資産税の支払いを強いることになります。そうなる可能性を考慮に入れ、土地の所有権を放棄できるようにすべく、放棄を認める条件や所有権放棄された土地の受け入れ機関の整備についても検討される予定です。

  3. (3)遺産分割協議の期間を制限

    相続人が行う遺産分割協議に期限を設けることも提案されています。これまで遺産分間協議には期限が設けられていませんでした。しかし、このことで相続の手続きが進まず、土地を有効利用したくてもできないという問題があちこちで生じていました。そこで、被相続人の死亡後、一定の期間を経過すれば、相続人間で話し合いができていなくても、また調停や裁判を申し立てていなくても、法律に従い自動的にその不動産の権利関係が確定するようにしようとしているのです。

  4. (4)土地ごとに相続財産管理人を選任可能に

    最近では家族や親族のいない高齢者も増えていますが、そのような高齢者が不動産を所有したまま亡くなると、相続人のいない土地ができてしまいます。そこで、債権者などが相続財産管理人を選任し、相続人の有無を調査したうえ不動産を処分することのできるようにしようと計画がなされています。

2、相続登記の義務化が検討されている背景

長い間任意だった相続登記の義務化が検討されるようになったのは、相続登記がなされていないことで公共事業の中止や変更などが余儀なくされたことが背景にあります。このような事案は一部地域だけでなく全国で発生しているため、相続登記の必要性が生じてきたのです。

  1. (1)所有者不明の土地が410ヘクタールにも

    全国には、登記簿に記載されている所有者がすでに亡くなっており、誰に相続されたのかがわからなくなったままになっている土地が数多く存在します。所有者不明土地問題研究会の報告書によれば、この所有者不明土地となった土地の比率は、全国で20%、面積は410万haにも及ぶと推計されています。

    さらに、今後は高齢者人口が多くなるにつれて、死亡者数も増加します。同研究会によれば、2030年には年間161万人、2040年には167万人になると予測されています。その結果、2020年から2040年の20年間に相続が発生するとみられる土地のうち、27~29%が相続未登記になると言われています。さらに、所有者不明土地面積は720万haにものぼると予測されているのです。

  2. (2)土地の活用や災害復旧に支障がある

    相続登記が行われていない所有者不明土地が増加したことで、さまざまな支障が生じています。たとえば、以下のような問題が実際に報告されています。

    • 公共事業のために用地を取得するとき、登記簿には明治時代の所有者しか書かれておらず、所有者の把握・用地取得に10年かかった。
    • 既存の私道をいかした道路整備(公道化)を検討しているが、所有者不明土地があるので協議を進めることができない。
    • 長屋の一部が所有者不明のため、売却ができず空き家のままで放置するしかない。
    • 野生動物による被害低減のため森林を伐採しようとしても所有者不明の森林があるため事業効果が低下する。
    • 東日本大震災の復興に際して、高台移転事業を実施する際に用地取得が難航した
  3. (3)将来の経済的損失が6兆円にも

    所有者不明土地を利活用するには、所有者を探すための探索コストや手続きコスト、樹木の伐採費用や不法投棄されたごみの処理費用などの管理コスト、などさまざまなコストがかかります。また、所有者不明土地が発生しなければ得られたであろう逸失利益も生じます。これらの経済的損失を試算すると、単年度では3,100億円、2017年から2040年までの累積値は約6兆円にも達すると言われています。

3、相続登記をしないとどうなる?

親きょうだいから土地建物を相続していても、手続きが面倒なため相続登記をしていない方や、相続登記制度自体を知らない方も少なくありません。相続登記は現在のところ法的義務ではありませんが、相続登記をしないことでさまざまなデメリットが生じます。それはどのようなデメリットなのでしょうか。

  1. (1)遺産相続が複雑化する

    相続登記をしないままでいると、年月が経つにつれて遺産相続が複雑化します。たとえば、父親が土地を所有しており、相続人が兄弟2人だった場合、父親の死後遺産分割協議をしなければその土地は兄弟2人の共有財産になります。さらにその兄弟の下に2人ずつこどもがいれば、6人の共有財産となります。

    このように何代にもわたり相続が発生することで相続人が雪だるま式に増え、権利関係が複雑になり、だれがその土地の権利者なのかがわからなくなってしまうのです。そのため、相続登記は相続が発生する都度、行うのがベストであると言えるでしょう。

  2. (2)不動産を担保に融資を受けられなくなる

    また、相続登記をしていないと、不動産を担保に融資を受けることができなくなることもデメリットのひとつです。何らかの事情でまとまった資金が必要になったときに、融資を受ける先として最初に思いつくのが銀行などの金融機関でしょう。そこで自分の所有している土地を担保にしようとしても、相続登記が行われていなければその土地を担保として利用することはできないのです。第三者に土地の所有権を主張するには、所有権の登記をしなければならないと民法で定められているからです。したがって、大きな金額のお金が必要になった時に備えるという意味でも、相続登記はしておいたほうが賢明でしょう。

  3. (3)不動産を有効活用できない

    また、不動産を有効活用できないこともデメリットとして挙げられます。たとえば、「遠方に住む両親が亡くなったので、実家を売却したい」と思っても、登記簿に記載されているその不動産の所有者の同意がなければ売却ができません。両親の死後に登記簿を調べてみると、名義が祖父や曽祖父のままであることは珍しくありません。

    そうなると、どのように相続が行われたかを調査し、相続人を一人ひとり探して全員から印鑑をもらわなければならなくなります。そのため、不動産を売却するまでに非常に長い時間がかかり、有効活用ができなくなってしまうのです。

  4. (4)将来は法律で罰せられる可能性も

    将来的に民法・不動産登記法が改正されれば、罰則規定が設けられる可能性が浮上しています。現行の不動産登記法では、「床面積○㎡」「○○市○○町○丁目○番地」などの表示に関する登記については、登記を怠った場合は10万円以下の過料に処せられるとされています。相続登記義務違反に関する罰金をこれと同等にすれば、相続登記にかかる費用の方が上回ってしまい実効性が弱くなってしまうため、今後も検討課題のひとつとして検討されていくと予想されます。

4、相続登記をするにはどうすればいいか

では、実際に相続登記をするにはどうすればよいのでしょうか。相続登記は書類さえ揃えられれば自力でもできますが、不安な場合は司法書士や弁護士などに相談した方がよいでしょう。

  1. (1)3つの相続登記方法

    相続登記方法には、次の3つの方法があります。

    ①遺言による相続登記
    不動産を所有している方が遺言を残して亡くなった場合、その遺言の中で被相続人から指定された方が、不動産を相続することになります。その特定の相続人が、相続登記を行います

    ②遺産分割協議による相続登記
    不動産を所有している方が亡くなった場合、法定相続人は遺産分割協議によりその不動産を誰が相続するのかを決定します。そして相続すると決まった方が相続登記をします。

    ③共有の相続登記
    不動産の所有者が亡くなった場合、相続開始の時点ではその不動産は法定相続人の共有財産の状態です。その相続人を誰か1人に決めるのではなく、複数名で相続することも可能です。この場合、各相続人の持分を法定相続分として共有の相続登記を行うことになります。

  2. (2)相続登記に必要な書類

    一般的に相続登記に必要な書類は以下の通りです。ただし、個々のケースにより必要書類は異なることがありますので、詳しくは弁護士や司法書士に相談の上確認するようにしましょう。

    遺言による相続登記 遺産分割協議による相続登記 共有の相続登記
    登記申請書
    相続関係説明図 戸籍謄本などの原本の還付を受けたい場合は必要
    被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本 ○(死亡の記載が必要) ○(出生から死亡時まで)
    被相続人の住民票(除票)
    相続人の戸籍謄本 不動産の取得者のみ
    相続人の住民票 不動産の取得者のみ
    遺言書 ○(公正証書遺言以外の場合は家裁の検認が必要)
    遺産分割協議書
    相続人の印鑑証明書
    固定資産評価証明書
  3. (3)相続登記の手続き方法

    相続登記は自分でも行うことができます。ここでは、自分で手続きをする場合の方法について解説します。

    ①必要書類を準備する
    上記の一覧を参考に、必要な書類を準備します。被相続人の戸籍謄本は出生時から死亡時まですべてのものが必要となることに注意が必要です。

    ②申請書類を作成する
    次に登記申請書・法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書・法定相続情報の3つの書類を作成します。フォーマットは法務局のウェブサイトにあるものをダウンロードして使いましょう。

    ③法務局で申請する
    法務局に書類をそろえて持っていき、確認を受けます。書類に不備がなければ、審査に進み、登録免許税の収入印紙を申請書に貼付して納入すれば終了です。後日、法務局から登記完了証などが届きます。

5、まとめ

不動産を相続しても、「手続きが面倒だから」といって相続登記をせずにいると、いざ不動産を売却したり賃貸に出したりしたいときに、すぐに行動に移せなくなります。

手続きは自分で行うこともできますが、司法書士などに相談の上手続きを一任することもできます。ベリーベストグループには、司法書士も数多く所属しておりますので、沖縄にお住まいの方で相続登記にお困りの際には、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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