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一部の遺産のみ相続放棄できる? 相続放棄と限定承認の違いとは

2022年07月12日
  • 相続放棄・限定承認
  • 相続
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一部の遺産のみ相続放棄できる? 相続放棄と限定承認の違いとは

沖縄国税事務所が公表している「令和元年分相続税の申告事績の概要」によると、沖縄国税事務所管内における令和元年の被相続人数(死亡者数)は、1万2509人でした。

相続が開始した場合には、被相続人の遺産を分割するために、相続人全員で話し合いを行うことになります。しかし、相続財産の中に借金などが含まれている場合や、利用価値の乏しい不動産が含まれているなどの理由から、積極的に相続を希望しない相続人もいます。

このような場合に、「一部の遺産のみを相続放棄して、残りの遺産を相続する」という方法をとることはできるのでしょうか? 本コラムでは、一部の遺産のみを相続放棄することができるのか否かについて、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士が解説します。

1、一部の財産のみ相続放棄することはできない

まず、結論から申します。
原則として、相続財産の中に相続したくない財産が含まれていたとしても、一部の財産のみを対象として相続放棄をすることはできません

そもそも、相続放棄とは、「被相続人の財産を一切相続しないこと」をいいます。そのため、相続放棄の対象となる遺産は、プラスの財産とマイナスの財産をすべて含めた遺産全体となるのです。

相続放棄の手続きは、「相続の開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申立てをしなければならない」などの条件が課される、厳格な手続きです。相続人の判断だけで相続放棄をしたり、対象となる財産を選別したりすることができるわけではありません。

また、一部の財産のみ相続放棄をすることが認められてしまうと、遺産の中に借金などがあった場合には、誰も相続する人がおらず、相続という偶然の事情によって相続債権者の利益が不当に害されてしまいます。そのため、法律上、一部の財産のみを対象として相続放棄をすることはできないのです。

2、一部の財産を相続しない方法はある

相続放棄という方法を用いる場合には、すべての財産を相続するかしないか、という二者択一の選択になってしまいます。
しかし、一部の財産について相続放棄はできなくとも、以下のような方法をとることによって、「一部の財産を相続しない」という選択が可能になるのです

  1. (1)遺産分割協議

    遺産分割協議では、相続人たちが話し合いを行って、遺産の具体的な分割方法を決めていくことになります。
    遺産分割協議では、各相続人の法定相続分にしたがって遺産を分けるのが一般的ですが、相続人全員が合意をすればそれ以外の分け方をすることも可能です。
    そのため、遺産の中に相続したくないものがある場合には、遺産分割で自分が取得する財産を少なくする代わりに、当該遺産を相続しないということもできます。ただし、借金に関しては、債権者の同意がない限りは、相続人同士で借金を相続する人を決めたとしても、それを債権者に対して主張することはできません。

  2. (2)相続分の譲渡

    相続分の譲渡とは、相続権を有する相続人が自分の相続分を他の相続人や第三者に対して譲渡することをいいます。自己の相続分を他の相続人または第三者に有償で譲渡することによって、譲渡人は相続分に相当する対価を得ることができます。これによって、遺産分割協議から離脱しながらも、遺産の対価を得ることができますので、実質的に一部の財産を相続しない場合と同様の効果を得ることができます。
    なお、相続分の譲渡でいう相続分とは、個々の財産の共有部分をいうのではなく、遺産分割時における権利割合のことをいいます。相続分の譲渡では、相続分の一部譲渡をすることもできますが、一部譲渡は、不動産、預貯金といった個別の財産を譲渡するものではありませんので、それだけでは、一部の財産を相続しないという効果は得られません。

  3. (3)限定承認

    限定承認とは、相続人が相続で取得したプラスの財産の範囲内でのみ被相続人の債務および遺贈を弁済するという相続方法のことをいいます(民法922条)。限定承認をすることによって、一部の財産を相続しない場合と同様の効果を得ることができます。
    なお、限定承認の詳しい内容については、後述します。

3、相続の種類

相続の方法には、相続放棄以外にも「単純承認」、「限定承認」という方法があります。以下では、これらの相続の内容と相続放棄との違いについて説明します。

  1. (1)単純承認とは

    単純承認とは、相続人が被相続人の権利義務を無限に承継することをいいます(民法920条)。単純承認をした場合には、プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐことになります。そのため、遺産のすべてを相続しない相続放棄とは正反対の相続方法となります。
    単純承認をする場合には、相続放棄や限定承認のように特別な手続きは必要なく、以下のような法定単純承認事由に該当する事実がある場合には、当然に単純承認したものとみなされます。

    ① 相続財産の全部または一部を処分した場合
    相続財産の処分とは、相続財産の性質、現状を変更する行為のことをいいます。
    たとえば、相続財産のうち預貯金の払い戻しを受けて生活費などに費消した場合には、相続財産の処分に該当することになります。しかし、被相続人の遺産から、被相続人のための葬儀費用や仏具の購入費用を支出した場合には、その額が社会的に不相当な金額でない限りは、社会的儀礼の範囲内のものとして相続財産の処分にはあたらないと考えられています。

    ② 熟慮期間内に相続放棄・限定承認の手続きをしなかった場合
    相続人は、相続の開始を知ったときから3か月以内に単純承認、相続放棄、限定承認のいずれかを選択しなければならないとされています(民法915条1項)。この期間を「熟慮期間」といいます。熟慮期間内に、相続放棄または限定承認の手続きをとらなければ、単純承認をしたものとみなされます。

    ③ 相続放棄または限定承認後の背信行為
    相続放棄または限定承認をした後に、相続財産の全部または一部の隠匿、私的な消費、悪意で財産目録に記載をしなかった場合には、民事的制裁の一種として相続放棄または限定承認の効力を否定して、単純承認があったものとみなされます。
  2. (2)限定承認とは

    限定承認とは、相続人が相続で取得したプラスの財産の範囲内でのみ被相続人の債務および遺贈を弁済するという相続方法のことをいいます(民法922条)。限定承認をすることによって、相続人は、プラスの財産とマイナスの財産のすべてを相続することになりますが、相続したプラスの財産の範囲に限って責任を負うことになります。すなわち、相続したプラスの財産を処分してマイナスの財産への返済に充てることによって、返済後それ以上借金があったとしても責任を免れることができます
    相続放棄は、一切の相続を拒否して完全に相続手続きから離脱する者であるのに対して、限定承認は、相続自体はするものの、責任の範囲が限定されているという違いがあります。

4、相続手続きの流れ

相続手続きの流れについては、単純承認、相続放棄、限定承認のうちどの方法をとるかによって異なってきます。以下では、3つの相続方法に分けて相続手続きの流れについて説明します。

  1. (1)一般的な相続(単純承認)の流れ

    一般的な相続の手続きは、以下のような流れで進みます。

    ① 遺言書の有無を調査
    遺言書がある場合には、遺言書の内容にしたがって遺産を分けることになりますので、まずは遺言書の有無を調査します。
    自筆証書遺言であれば自宅や法務局、公正証書遺言であれば公証役場に保管されています。

    ② 相続人の調査
    遺言がない場合には、遺産分割協議によって遺産を分けることになります。有効な遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員が関与していなければなりません。
    相続人に漏れがないようにするためにも、正確な相続人の調査が必要になるのです。

    ③ 相続財産調査
    遺産分割の対象となる遺産に漏れがあると、遺産分割協議のやり直しをしなければならない場合があります。
    そのため、相続人の調査と同様に相続財産調査についても正確に行う必要があります。

    ④ 遺産分割協議
    上記の調査が完了したら、遺産分割協議を行うことになります。
    遺産分割協議によって話し合いがまとまった場合には、遺産分割協議書を作成して、相続人全員が署名を押印します。
    遺産分割協議が成立した後には、遺産分割協議の内容にしたがって、相続登記などの相続手続きや相続税の申告などを行うことになります。
  2. (2)相続放棄の流れ

    相続放棄の手続きは、以下のような流れで進みます。

    ① 家庭裁判所への申立て
    相続放棄をする場合には、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、相続放棄の申述を行います。

    ② 相続放棄の申述に関する照会・回答
    家庭裁判所に相続放棄の申述を行うと、家庭裁判所から申述人に対して、相続放棄の申述に関する照会書が送られてきます。
    照会書では、相続放棄の申述が申述人の真意によるものであるかどうか、法定単純承認事由に該当する事情がないかどうかなどについての質問事項があります。申述人は、回答書面を作成して、家庭裁判所に送付することになります。

    ③ 相続放棄の申述の受理
    家庭裁判所の裁判官は、申述人からの回答などをふまえて、相続放棄の申述を認めるかどうかを判断します。
    裁判官が相続放棄の申述を認めたら、申述人に対して「相続放棄申述受理通知書」が交付されます。これは相続放棄をしたことを証明するための大切な文書となりますので、大事に保管しましょう。
  3. (3)限定承認の流れ

    限定承認の手続きは、以下のような流れで進みます。

    ① 家庭裁判所への申立て
    限定承認をする場合には、被相続人が最後に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所に対して、限定承認をする旨の申述を行います。
    複数の法定相続人がいる場合には、限定承認の申立ては、相続人全員が共同して行う必要がある点に注意してください。

    ② 相続債権者および受遺者に対する公告および催告
    限定承認の申述が受理されると、限定承認者または家庭裁判所によって選任された相続財産管理人が相続財産の清算手続きを行うことになります。

    ③ 相続財産の換価
    金銭以外の相続財産を売却する場合には、財産の競売をすることで、相続財産を換価します。ただし、限定承認者が金銭ではなく当該遺産そのものの取得を希望する場合には、鑑定人による評価額に相当する金銭を支払うことで、相続財産を引き取ることができます。

    ④ 相続債権者および受遺者に対する弁済
    相続財産の換価が終了して、相続債権者および受遺者への公告期間が満了した後には、相続債権者及び受遺者に対して、債権額の割合に応じて弁済を行います。

    ⑤ 相続人による財産の受領
    相続債権者および受遺者に対する弁済によってもなお相続財産に余りが生じた場合には、限定承認者がそれを受領することになります。

5、まとめ

相続放棄とは、「遺産のすべてを放棄する手続き」のことです。そのため、一部の遺産のみを放棄するということはできません。
しかし、遺産分割協議、相続分の譲渡、限定承認などさまざまな方法によって、希望する遺産の分割方法を実現することができる可能性があります

「相続したくない遺産がある」など、沖縄県内で遺産相続に関してお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスにまで、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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