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次男は財産が相続できない? 不公平な家督相続制度はいつまで適用される?

2019年12月13日
  • 遺産を受け取る方
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次男は財産が相続できない? 不公平な家督相続制度はいつまで適用される?

戦前の旧民法下では、戸主に家の統率権限を与えるとともに、戸主が死亡した場合は、戸主の長男が、一人で戸主のすべての遺産を相続するという「長子相続(家督相続)」制度が取られていました。もちろん現在では廃止されていますが、いまだに「親の遺産を相続するのは長男だけだ」と主張されるケースは少なくありません。

特に、歴史的・風土的理由から、何事も長男を優先させるという考え方が強かった沖縄県では、「長男だけで遺産を相続する」という主張がなされることが、他府県に比べて今でも多いと言われています。

そこで本コラムでは、現在の民法の相続制度と、「長男だけで遺産を相続する」という主張がされた場合の対処方法について、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士が解説します。

1、旧民法の相続制度はどのようなものだったか

戦前の旧民法では、戸籍上の戸主が死亡した場合、戸主の長男が、戸主の地位および全遺産を相続するものとされていました。つまり、原則として配偶者や長男以外の子どもに、相続権はありませんでした。このような封建的な相続制度は戦後の民法改正により廃止されました。

この制度は「長子相続」と呼ばれていましたが、令和の現代においては一般的に「家督相続」と呼ばれています。そのため、本来の意味においては、長子相続と家督相続は異なる部分がありますが、本コラムにおいては「家督相続」という呼び方で解説します。

2、新民法での相続は?

改正後の民法では、被相続人の長男に限らず、法律上「法定相続人」とされる人が、法律上指定された順位と、原則として法律上決められた割合に従って被相続人の遺産を相続するものとされています。
現代の民法における、相続順位をみていきましょう。

  1. (1)新民法における相続の順位

    旧民法では、配偶者は相続する権利すらありませんでした。しかし新民法では、配偶者は必ず相続人になります。
    それ以外の相続人の順位は次のとおりです。

    • 第1順位……直系卑属(子ども、子どもが死亡の場合は孫、ひ孫)
    • 第2順位……直系尊属(父母や祖父母、養親など)
    • 第3順位……兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡の場合は、その子ども)
  2. (2)法定相続分

    新民法では、遺産分割や調停・裁判における基準となる法定相続分が定められています。

    • 配偶者のみ……すべての財産
    • 配偶者と直系卑属……配偶者1/2、直系卑属で1/2
    • 配偶者と直系尊属……配偶者2/3、直系尊属で1/3
    • 配偶者と兄弟姉妹……配偶者3/4、兄弟姉妹で1/4


    なお、配偶者がいない場合は、すべての財産を同順位の相続人で分割します。 

3、今でも、家督相続が残っている?

  1. (1)今も残る家督相続

    これまでご説明したように家督相続制度は、60年以上前に廃止されました。しかし、現代の日本においても、沖縄だけでなく家督相続の慣習が残っている地域や、「長男がすべての財産を相続するべきである」という考えを持っている人が少なくありません。そうした慣習や考え方の相違により、相続においてトラブルが起きることがあるのです。

  2. (2)家督相続制度が適用される場合がある?

    また、現代においても、旧民法が適用されるケースがあるので注意が必要です。
    すなわち被相続人が「明治31年7月16日」から「昭和22年5月2日以前」に死亡したにもかかわらず、相続手続きが未了の場合は、家督相続を定める旧民法が適用されるのです。

    たとえば、先祖代々引き継いできた不動産があった場合を例に考えてみましょう。
    このような不動産については、通常であれば所有者が死亡したときに、相続手続き・名義変更の手続きがなされます。変更していれば基本的に問題が生じることはありません。
    しかし、相続手続きや名義変更を行うことは義務ではありません。そのため被相続人が明治31年7月16日から昭和22年5月2日以前に死亡したにもかかわらず、故人が所有していた不動産について相続登記・名義変更がなされていないときは、家督相続を定める旧民法が適用されてしますのです。

4、親が長男に全財産を相続させると言ったら?

親が古くからの考えを支持しており、「長男にすべての財産を相続させる」と主張する場合は、どのように対処したら良いのでしょうか。

遺言で「誰にどのくらいの財産を譲るか」を決めることは、財産の所有者である親の自由です。
しかし、長男以外の子どもに何ひとつ財産を残さないのは、新民法で認められている遺留分を侵害するだけでなく、あまりにも不公平です。いつまで古い考え方をしているのかと、憤りを覚える方もいるかもしれません。

親や長男が家督相続を強く主張している場合や、遺留分まで侵害される遺言がされてしまった、遺産分割を巡ってトラブルになっているといった場合は、早急に弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士であれば、依頼人の方が不利益を被らないように、下記のようなサポートをすることができます。

  • 代理人として交渉
  • 遺言や遺産分割の内容に関するアドバイス
  • 相続財産の調査
  • 遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)のサポート など


旧民法が施行されていた明治時代と比べ、社会情勢や家族の在り方は大きく変化していますが、いまだに昔ながらの家督相続が主張されるケースは後を絶ちません。そのような主張を、昔の考え方だと頭ごなしに否定するだけでは、解決は望めません。第三者である弁護士が間に入ることで、冷静な話し合いも期待できるでしょう。弁護士の法的知見を元に、双方に歩み寄れる内容を模索していくことが大切です。

5、まとめ

今回は、旧民法で定められていた家督相続についてご紹介しました。今もなお、家督相続による相続を主張される方もおり、相続トラブルで、調停や審判にまで発展するケースも珍しくありません。

相続トラブルを回避するためには、相続に詳しい弁護士に相談することが得策でしょう。弁護士が遺言書の作成、遺産分割協議などをサポートすることで、相続トラブルを適切に解決することができます。

相続関係でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスにご相談ください。経験豊富な沖縄オフィスの弁護士が全力を尽くします。

ご注意ください

「遺留分減殺請求」は民法改正(2019年7月1日施行)により「遺留分侵害額請求」へ名称変更、および、制度内容も変更となりました。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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