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固定給は残業代が出ない? 未払い残業代が発生するケースと請求方法

2020年03月11日
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固定給は残業代が出ない? 未払い残業代が発生するケースと請求方法

平成29年8月、沖縄労働局は2年間で合計500万円以上の残業代を支払わなかった容疑で、那覇市にある書籍・文房具販売店の社長と店長を逮捕しました。悪質性が高いため、是正勧告ではなく刑事処分が妥当と判断されたケースです。
那覇市内の老舗店舗が対象となったので、市民の間では非常に話題となったと同時に、各企業が「残業代の未払いは処罰を受ける重大な行為だ」と認識するきっかけになったでしょう。

残業代の未払いトラブルはさまざまな形態がありますが、中でも非常に多いのが「固定給だから残業代は出ない」などと使用者に主張されるケースです。
実際に、固定給で働いている場合は残業代がもらえないのでしょうか?
本コラムでは、那覇オフィスの弁護士が固定給と残業代の関係について解説します。

1、「固定給」の基本的な考え方

求人情報などをみると、給与の条件が「固定給」と記載されている求人を見かけることがあるでしょう。そもそも「固定給」とはどのような制度なのでしょうか?

  1. (1)固定給とは?

    固定給とは、月々に支払われる賃金があらかじめ決められ一定額に固定されている給与形態のことです。各種手当なども、固定給の中に含まれます。毎月一定額の賃金が得られると約束されているので、労働者としては安定した条件で働くことができるでしょう。

    固定給の場合、各種手当や歩合による変動がないため安定した賃金が期待できますが、ベースアップを除いて賃金アップは望めません。

  2. (2)固定給と基本給の違い

    固定給と混在して認識されていることが多いのが、「基本給」制度の給与形態です。
    基本給とは固定給と異なり、各種手当を含まない賃金を指し、給与計算のベースとなるものです。

    基本給制度の場合、扶養手当・通勤手当・住宅手当・単身赴任手当などの各種手当のほか、営業成績を反映した歩合給などを合算して月々の賃金額が決まります。生活環境の変化に応じて手当額が加算されるほか、営業成績やノルマの達成状況などによって賃金アップが期待できます。

    基本給部分は約束されていますが、各種手当や歩合は状況によって変動するため、必ずしも労働者にとって有利に働くわけではありません。賃金アップの期待と同時に、賃金が毎月変動するリスクもあわせ持っています。

2、固定給でも残業代は請求できる?

固定給制度の場合、月々に一定額の賃金がもらえますが、ここで「残業代」についての疑問が生じます。固定給の場合、残業代はもらえないのでしょうか?

  1. (1)固定給で残業代が請求できないケース

    月々の賃金にあらかじめ「固定残業代(みなし残業)」が含まれており、最初からある程度の残業があることを想定して賃金が設定されている場合は、基本的には残業代はもらえません。
    具体的には次のようなケースです。

    • 就業規則にみなし残業を規定しており、従業員への周知がなされている
    • 労働契約書などで、みなし残業の時間と残業分の賃金の金額が明確にされている
    • 実際の残業時間がみなし残業時間よりも少ない
    • みなし残業の賃金相当額が、法定の割増賃金額を下回っていない
  2. (2)固定給でも残業代を請求できるケース

    固定給に固定残業代が含まれているとしても、会社は社員を無制限で残業させて良いわけではありません。固定給制度が採用されている場合でも、次のようなケースでは残業代を請求できる可能性があります。

    ●実際の残業時間がみなし残業時間を超えている場合
    みなし残業時間を超えて残業している場合、超過分は残業代を請求できます。

    ●固定残業代が最低賃金を下回る場合
    那覇市のある沖縄県の1時間あたりの最低賃金は、790円と定められています(令和元年度)。
    ただし、週40時間を超える労働(時間外労働)に対しては、1時間あたりの賃金の1.25倍が支払われなければなりません。つまり、時間外労働分に関して支払われる残業代の最低賃金は、987円ということになります。

    たとえば、1日あたりの勤務時間が8時間、週5日勤務の会社で考えてみましょう。労働契約書に「残業代4万円(月45時間分)を含む」と明記されていた場合、1時間あたりの残業代は888円となり、最低賃金を下回ります。
    つまり、固定残業代が時間外労働の最低賃金を下回ってしまうため、差額分が未払いとなり請求の対象となります。

    ●みなし残業が周知されていない場合
    固定給でも、就業規則にみなし残業の時間・金額が明記されていないなど、従業員への周知がなされていない場合、そもそも労働契約自体が無効になる可能性があります。
    このケースでは、法定労働時間を超えた残業には残業代が支払われる必要があります。
  3. (3)よくある違法なケース

    固定給制度を採用していることを悪用して、従業員への給与支払いを不当に削減しているケースがあります。
    典型的な違法パターンは、次のようなケースです。

    • 「固定給だからどれだけ残業をしても定額に含まれている」と説明している
    • 規定のみなし残業時間に満たない場合は減額される
    • みなし残業時間が36協定で許容されている範囲を超えている


    これらのケースでは、不当に削減された残業代の支払いを求めることが可能です。自身の契約内容は、雇用状況に疑問が生じた場合は、まずは弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

3、固定給で未払いとなった残業代を請求する手順

未払い残業代が生じている場合は、本来もらえるはずの残業代を請求できます。本章では、未払いとなっている残業代を請求する手順を解説します。

  1. (1)証拠をそろえる

    まずは「どれだけの未払い残業代が発生しているのか」について、証拠をそろえて正しく算出する必要があります。

    残業代を計算するには、固定給に含まれる基本給・固定残業代・各種手当の金額を明らかにする必要があります。ここで意識しておきたいのが「未払い残業代を証明する責任は労働者にある」ということです。未払い残業代があることを証明するために、下記のような証拠をそろえる必要があります。

    ●労働契約や条件に関する証拠
    労働契約書や雇用通知書、就業規則など、時間・賃金などに関する取り決めが確認できるもの。

    ●実際の給与額に関する証拠
    給与明細や源泉徴収票など賃金が確認できるもの。

    ●残業の事実を証明する証拠
    出退勤を示すタイムカードや日報、業務用パソコンのログイン・ログアウトの履歴、会社で仕事をしていることを示すメールなどの履歴。
  2. (2)請求書を送付する

    固定給で未払い残業代が発生していることが判明したら、証拠をそろえ会社に対して未払い残業代の支払いを請求しましょう。

    請求書を送る際は、内容証明郵便を利用すると良いでしょう。「未払い残業代の支払いを請求した」という事実が証明されるため、会社側は受け取っていないなどの言い逃れができなくなります。

    請求書の送付や、労働者自身で会社と話し合いの場を設けて請求することで、会社が非を認めて支払いに応じてくれれば、それが最善の結果です。ただし、未払い残業代が発生しているような会社であれば、期待できないことが多いでしょう。

  3. (3)相談機関を利用する

    労働者からの請求に会社が応じない、または無視されるといった状況では、自力での解決は難しくなります。
    労働基準監督署に相談するほか、労働局の総合労働相談コーナーにアドバイスを求めるのが良いでしょう。行政からの働きかけがあると、会社側が対応する可能性もあります。ただし、労働基準監督署が行うのは会社側への是正勧告にとどまります。是正勧告の場合、必ずしも会社側が対応するとは限りません。また、個人の残業代請求のサポートなどは行っていないことを、理解しておく必要があります。

  4. (4)弁護士に相談する

    弁護士に相談すると、代理人として会社側との交渉をすすめてもらえます。その他、支払い督促・訴訟といった手続きをとるなど、法的知見に基づき状況に合わせた対応が可能です。
    弁護士に依頼することのメリットは、次の章で詳しく解説します。

4、未払い残業代の請求を弁護士に依頼するメリット

固定給制度で未払い残業代が生じており、過去の未払い分を含めて請求したいと考えた場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼すると費用の面が心配になるかもしれません。しかし、弁護士に相談してサポートを受ければ、さまざまなメリットが得られます。

●正確な未払い残業代が算出できる
固定給制度における未払い残業代の算出には、証拠をそろえて基本給・固定残業代・各種手当を正確に割り出す作業が必要となります。この作業は容易ではなく、しかも間違いがあると交渉の根拠が覆ってしまうでしょう。
正確な未払い残業代を算出するには、労働関係の法令を熟知している弁護士に一任するのが賢明です。弁護士が正確に未払い分を算出することで、想定より多い金額を受け取れることも少なくありません。

●証拠収集が可能になる
未払い残業代の請求において問題となりやすいのが、「証拠がそろわない」という状況です。すでに退職してしまった場合などは、証拠の収集はさらに難しくなります。会社に提示を求めても、請求を受けたくない会社が情報提供を拒むケースも想定できるでしょう。
弁護士に依頼すれば、証拠となり得る情報に関してアドバイスを受けることができます。また、会社に対して情報開示を請求するといった対応を検討するなど、あらゆる方法で証拠の確保をすすめます。

●会社側が交渉に応じる可能性が期待できる
個人で請求しても、無視をする、対応しないといったケースでも、弁護士から連絡することで会社側が交渉に応じることも少なくありません。
また、弁護士から連絡をしても会社側が未払い残業代の請求に応じない場合、裁判所の手続きを利用して支払い督促や訴訟の提起といった法的手段をとる必要があります。このような法的手段をとる際に弁護士のサポートがあれば、対応を一任できるので安心です。

5、まとめ

「固定給だから残業代は出ない」と会社からいわれているケースでも、残業代を請求できる可能性があります。あきらめる必要はありません。
固定給制度を採用している多くの会社では、不当に残業代が削減されているおそれがあるため、まずは弁護士に相談して未払い残業代が生じていないかを確認するべきでしょう。

ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスは、固定給制度による未払い残業代の請求を含めた労働トラブルについて相談を受け付けています。残業代請求に関する相談は無料です。

会社に未払い残業代を請求したい方、どのくらいの未払い残業代が発生しているのかを確かめたい方は、労働トラブルの解決実績が豊富な弁護士のサポートを受けるのが賢明です。
固定給制度による未払い残業代の請求でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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