【後編】解雇予告は労働基準法では問題ない?不当解雇にあたるケースとは?

2019年03月28日
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【後編】解雇予告は労働基準法では問題ない?不当解雇にあたるケースとは?

前編では、解雇の概要や解雇予告などについて解説いたしました。
後編では、解雇が制限・禁止されるケースや解雇予告された場合に確認すべきことについて那覇オフィスの弁護士が解説いたします。

3、解雇が制限・禁止されるケース

労災事故で入院しているときに「来月でクビだから」と予告するのは、あまりに非情です。入院中は再就職活動もできません。

こういった労働者に不利な解雇を防ぐため、労基法は解雇してはいけない期間や、解雇を禁止するケースを定めています。

  1. (1)解雇が制限されている期間

    仕事をしている際に負ったケガの療養中に解雇されてしまうと、安心して治療に専念することができません。また出産の前後にも体を休めることが必要です。 そこで労基法は、次の期間に該当する労働者の解雇ができないよう制限しています。

    • 業務上負ったケガや病気の療養のための休業期間と、その後の30日間
    • 産前・産後の休業期間(産前6週間、産後8週間)と、その後の30日間

    この期間中の解雇は、不当解雇にあたる可能性があります。

    なお傷病により療養している期間が3年を超えている場合、打切補償を支払うか、労災保険の傷病補償年金を受ける場合には、解雇できるようになります。

  2. (2)解雇の制限が解除されるケース

    天災やそのほかやむを得ない事情があり、事業を続けることが難しくなった場合には、解雇が制限される期間中の労働者であっても解雇ができます。
    なお、労働基準監督署長の許可が必要です。

    ただし会社の業績不振などは「やむを得ない事情」に当たりません。
    天災と同じくらい突発的で、避けられない程の事態であることが必要です。

  3. (3)解雇が禁止されているケース

    会社側にとって都合が悪いという理由で解雇が行われてはいけません。 そこで労基法では、以下の理由による解雇を禁止しています。

    • 労働者の国籍や信条、社会的身分を理由とする解雇
    • 労基署など、監督機関に会社の法律違反を申告したことを理由とする解雇

    いずれかに該当する場合には不当解雇の可能性があります。

4、解雇予告されたときに確認すべきこととは?

「31日後に解雇するから」「手当を払うから今日でクビ」など、解雇予告の規定を守っているように思える場合でも、不当解雇に当たるケースがあります。

解雇予告されてしまった場合にはまずは理由を確認し、不当解雇ではないのか、専門家に確認してもらいましょう。

  1. (1)解雇予告通知書を確認

    「解雇予告通知書」とは、解雇の予告をする際に会社が交付する書面です。

    一般的には解雇をする労働者の氏名、通知日・書類作成日、解雇予定日、解雇する旨、解雇理由などが記載されます。
    なお解雇予告は口頭でも良いため、通知書が渡されない場合もあります。

  2. (2)解雇理由証明書は必ず請求しよう

    「解雇理由証明書」とは、解雇の理由が書かれた書面です。

    主に解雇をする労働者の氏名、作成日、解雇理由が記載されます。
    解雇予告通知書とは違って、解雇する労働者からの求めがあれば、会社は必ず交付しなければなりません。

    この書面には、解雇理由が具体的に記載されているはずです。
    身に覚えのないことや事実と違う内容が書かれている場合には、不当解雇にあたる可能性があります。
    またその後の会社との交渉や裁判において重要な証拠にもなります。

    解雇予告をされたら、必ずすぐに証明書をもらうようにしましょう。

  3. (3)解雇予告された場合の相談先

    「解雇予告に納得ができない」「不当解雇ではないか」と思ったら、まずは相談することが大事です。

    会社の労働組合は、従業員からの相談を受け付けてくれます。
    ただし労働組合がない会社も少なくありません。

    外部での相談先としては、労働基準監督署や都道府県の労働局があります。

    労基署は解雇予告などの相談ができ、不当解雇にあたる可能性がある場合には立入検査や行政指導をすることもあります。
    ただし解雇理由についての判断はしてくれません。

    また都道府県の労働局では、紛争調整委員会が仲介して解決をはかる「あっせん」という制度があります。
    ですが強制力がないため、会社に話し合いを拒否されてしまうこともあります。

  4. (4)退職する前に弁護士へ相談を

    解雇予告や不当解雇などの労働問題は、弁護士に相談しましょう。

    弁護士は対処方法や証拠の集め方についてアドバイスをしてくれます。
    また会社との交渉の代行もしてくれるため、自ら交渉に立つ必要がなく、精神的な負担を軽くすることにもつながります。

    また「慰謝料を請求したい」「未払い賃金がある」など、法的対処を考えている場合には、裁判の代理人にもなってくれます。

    包括的に対処してもらえるので、解雇予告されたら早めに相談をしましょう。

5、まとめ

解雇予告をされると、この先の生活について不安でいっぱいになるでしょう。会社の言い分ややり方に納得できない方もいるはずです。

ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士は、解雇予告でお困りの方のお話を丁寧に聞き、全力でサポートいたします。
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