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訪問買取(訪問購入)トラブルに要注意! 被害にあったときの相談先

2023年07月06日
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訪問買取(訪問購入)トラブルに要注意! 被害にあったときの相談先

沖縄県内で強引な「訪問買取(訪問購入)」のトラブルが急増しています。具体的には、執拗に電話をかけてアポイントメントを取り付けたうえで被害者宅に押しかけて、貴金属やブランド品などを安値で買い叩いていく手口の被害に遭う方が増えているのです。

「勝手に被害者宅に上がり込む」「威圧的な態度で居座る」などのトラブルがあるだけでなく、個人情報を聞き出されてしまって不安を感じられている方もおられます。沖縄県消費生活センターは、インターネットなどを通じて悪質な「押し買い」行為に対する注意喚起をはかっていますが、依然として被害は続いています。

本コラムでは「訪問買取(訪問購入)」トラブルの典型例や法的な規制、被害に遭ってしまったときに取るべき行動について、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士が解説します。

1、訪問買取(訪問購入)とは? 典型的なケース

まずは、「訪問買取」とはどのような行為であるのか、典型的な事例を解説します。

  1. (1)「訪問買取」とは?

    「訪問買取」とは、リサイクル業者や不用品買取業者などの「購入業者」が、個人宅を訪問して商品を買い取る取引のことをいいます。
    強引な手口の場合には「押し買い」と呼ぶこともあります。
    また、法律上は「訪問購入」と呼ばれます。

    そもそも、訪問買取にあたる行為のすべてに問題があるわけではありません。
    法律が認める正しい方法でおこなわれるならば、まとまった不用品の整理に重宝される取引となります。

  2. (2)訪問買取でトラブルに遭う典型的なケース

    正しい方法で行われる訪問買取は合法ですが、トラブルに発展するケースが絶えないという実情もあります。

    訪問買取は、さまざまな社会問題を口実に接近してくることから、振り込め詐欺を含む「特殊詐欺」と似た面をもっているといえます。
    たとえば、平成23年に東日本大震災が起きた直後は「医療機器が不足しているので材料として提供してほしい」といった口実で訪問買取の被害が急増したのです。

    訪問買取でトラブルが生じる典型的なケースとしては、下記のようなものがあります。

    • いきなり「不用品はありませんか?」と訪ねてきて、無断で玄関に入り込んできた
    • 事前の電話で来訪を許したが、買取目的とは聞かされていなかった
    • 古着や着物などの買取と聞いていたが貴金属やブランド品の買取を強引に勧められた
    • めぼしいものがなかったが「なにか買い取らないと帰れない」と居座られた
    • 貴金属を買い取ってもらったが、あとで明細をみると相場よりも大幅に安かった
    • 買取を断ったところ大声で怒鳴られて怖くなり、貴重品を安値で売ってしまった

2、訪問買取は「特定商取引法」の対象|違法となる行為

訪問買取は「特定商取引に関する法律(通称:特定商取引法)」で規制される対象です。
特定商取引法で禁止されている、訪問買取の方法について解説します。

  1. (1)会社の名前や勧誘目的であることを隠す

    購入業者は、勧誘に先立って、かならず相手方に次の3点を明らかにしなくてはなりません。

    (特定商取引法:第58条の5)
    • 購入業者の氏名、名称
    • 買取について勧誘する目的であること
    • 対象となる物品の種類


    会社の名前を隠す、勧誘目的であることを隠して別の名目で接近するといった方法は、特定商取引法に違反します

  2. (2)いわゆる「飛込み勧誘」

    購入業者は、訪問買取の勧誘を求めていない者に対して勧誘してはいけません。
    また、勧誘に先立って、相手方に勧誘を受ける意思を確認する必要があります(第58条の6・1、2項)。

    このルールがあるため、訪問買取はまず電話で意思確認をおこない、改めて相手方の自宅に訪問するという手法を取ることが一般的です。
    確認なしで自宅を訪問する、いわゆる「飛込み勧誘」は、法律によって禁止されているのです

  3. (3)断ったのにしつこく勧誘する

    購入業者は、利用の意思がないことを示した相手に対して再勧誘してはいけません(第58条の6・3項)

    買取を拒否したのにしつこく「なにか買い取らないと帰れない」などと居座る行為は、違法です

  4. (4)契約書面を交付しなかった

    購入業者は、訪問買取の申し込みを受けた相手に対して、以下の項目を記載した契約書面を交付しなければなりません(第58条の7・8)

    • 物品の種類
    • 物品の購入価格
    • 物品の代金、支払時期、支払方法
    • 物品の引渡し時期、引渡し方法
    • 契約申し込みの撤回、解除に関する事項
    • 物品引渡しの拒絶に関する事項
    など


    書面を交付しないと、なにをいくらで買い取ったのか、消費者保護に関するルールを正しく伝えているのか、などがわからなくなってしまいます。
    そのため、契約書面なしの訪問買取は違法となるのです。

  5. (5)引渡しの拒絶に関する説明をしなかった

    購入業者は、相手方に対して「一定期間内は物品の引渡しを拒むことができる」旨を告げる必要があります(第58条の9)

    買取を申し込み、一度は査定に納得して契約を交わしたものの気が変わったので断ろうとしたところ、「引渡しをしないと契約違反になる」などと強引に物品の引渡しそうとしてくる行為は、違法となるのです。
    また、この説明については、契約書面において「赤枠のなかに赤字で記載」というルールがあります。

  6. (6)嘘の説明を受けた

    買取の勧誘において嘘の説明をする行為も違法です(第58条の10・1項)
    たとえば、本来は高額であるものを「あまり価値はない」と伝えて安値で買い取る、そのような事実がないのに「自治体からの委託を受けている」と伝えて信用させるなどの行為が該当します。

  7. (7)脅しを受けた

    購入業者は、契約を結ばせたり契約の撤回や解除を妨げりするため、または物品の引渡しを受けるために、相手を威迫したり困惑させたりしてはいけません(第58条の10・3、5項)。

    大声で脅す、「指輪を買い取らせてくれないなら出張費をもらう」などと困惑させるといった行為も違法となるのです

3、訪問買取の被害に遭ってしまった場合の対応と相談先

以下では、強引な訪問買取の被害に遭ってしまったときに取るべき対応や、ひとりでは解決できないときの相談先を紹介します。

  1. (1)クーリングオフする

    訪問買取は「クーリングオフ」の対象です。
    クーリングオフとは、訪問販売や電話勧誘販売といった不意打ち性の高い取引について、消費者を救済するための制度です。
    訪問買取については、契約書面が交付された日を含めて8日間、いつでも一方的に解約することができます。

    また、8日間という縛りは「契約書面が交付された日」からです。
    つまり、契約書面が交付されていない取引については、日数の制限なしでいつでも契約を解除することができます。
    また、勧誘において虚偽や脅迫などがあった場合も、クーリングオフの期限は無制限となり、いつでも一方的に解約可能です。

    ただし、クーリングオフは、電話やメールといった方法では成立しません。
    かならず、「書面」によって購入業者に伝えなければならないのです
    具体的には、「解約通知書」などを作成して、業者に郵送することになります。
    また、8日間という期限は、購入業者に到達した日ではなく消印などの記録で判断します。
    購入業者側の「受け取っていない」「届いていない」といった抗弁を防ぐために、配達証明つきの内容証明で郵送することをおすすめします。

  2. (2)自治体の消費生活センターに相談する

    自治体に設置されている「消費生活センター」では、消費生活に関するトラブルや悩みについてアドバイスを提供してくれます。
    沖縄県は、沖縄県消費生活センター・八重山分室・宮古分室の3か所を設置されています。
    また、県が設置するものとは別に、那覇市・沖縄市・宜野湾市・うるま市でもそれぞれの市が消費生活センターを設置しています。最寄りの窓口を調べて、相談しましょう。

  3. (3)脅迫や暴力行為があった場合は警察に相談する

    強引な訪問買取トラブルのなかには、明らかな犯罪行為が認められるものもあります。

    • 退居を求めたのに屋内に居座る行為(刑法第230条後段:不退去罪)
    • 胸ぐらをつかまれる、物を投げるなどの暴力行為(刑法第208条:暴行罪)
    • 「痛い目に遭うぞ」などと脅す(刑法第222条:脅迫罪)
    • 脅しや暴力によって無理やり契約を結ばされた(刑法第223条:強要罪)
    • 玄関ドアを蹴り壊される(刑法第261条:器物損壊罪)


    これらの被害があるときは、刑事事件として管轄の警察に相談しましょう
    警察に被害届を提出すれば、加害者が特定されて、逮捕されたり検挙されたりする可能性があります。

4、訪問買取トラブルに遭ったら弁護士に相談を

訪問買取のトラブルに遭われたら、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)適法・違法のアドバイスが可能

    訪問買取は、消費者を守るための特定商取引法が適用される取引です。
    自分が経験した事例が法律の範囲内で適切なものだったのか、それとも違法なものであったのかは、自身で判断するのが難しい場合もあるでしょう。

    弁護士であれば、消費者保護に関するさまざまな法律の知識があります。
    そのため、取引がそもそも違法なものであったかどうかや、違法であった場合に次に取るべき対応などについてアドバイスすることが可能です

  2. (2)必要に応じて解決をサポートできる

    先述したとおり、訪問買取トラブルの被害にあった消費者を救済する手続きとして、クーリングオフ制度を利用することができます。
    クーリングオフを告げるための通知書の作成が難しいと感じる方や、実際に通知してみたが購入業者が相手にしてくれなかったという方は、弁護士にまでご相談ください。

    弁護士に依頼すれば、購入業者へのクーリングオフ通知、契約解除や返金を求める交渉など、対応のすべてを一任させることができます。
    とくに被害額が高額な場合は、ぜひ、弁護士の利用を検討してください

5、まとめ

「訪問買取(訪問購入)」は、別名で「押し買い」とも呼ばれています。
強引な方法で貴金属などを安価で買いあげる悪質なトラブルが横行しており、自治体も注意を喚起している状況です。

訪問買取の被害を防ぐためには、「売却の意思がないときは断固として断る」「屋内に業者を立ち入らせない」といった対策が有効です。
しかし、善意や同情心、迷いなどにつけ込まれてしまい、被害を避けられない場合もあるでしょう。
すでに被害が発生している場合には、「クーリングオフ」などの法的な手続きで解決することを検討してください。

違法であるかどうかの判断が難しい場合や、クーリングオフを通知しても業者からの返信がない場合、被害額が高額である場合には、弁護士にまでご相談することをおすすめします。
沖縄県にご在住の方は、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスにまで、お気軽にお問い合わせください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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