【後編】専業主婦でも親権を獲得するにはどうすれば良いのか? 弁護士が詳しく解説

2019年04月25日
  • 離婚
  • 専業主婦
  • 親権
【後編】専業主婦でも親権を獲得するにはどうすれば良いのか? 弁護士が詳しく解説

前編では、親権の概要や親権者の判断基準、母親の浮気が原因で離婚する場合の影響などについて解説いたしました。
後編では、専業主婦が子どもの親権を獲得するためにするべきことについて解説いたします。

4、専業主婦が子どもの親権を取るためにすべきこと

専業主婦が子どもの親権を得られるようにするには、できる限り子どもの生活水準を変えないために生活基盤を作ることが非常に大切です。ここでは、生活基盤を作るために、専業主婦がどのようなことをすべきなのかについて解説します。

  1. (1)当面の資金を確保する

    離婚への準備として、離婚後の生活を見据えて資金を少しずつ確保しておくようにしましょう。離婚時に別居する際にはいろいろとお金がかかります。夫からもらっている毎月の生活費を一部貯金に回す、期間限定のお仕事などの働き口を見つける、親きょうだいから借りるなどして、出費に備えてお金を貯めておくことをおすすめします。また、多額の出費に備えて、クレジットカードをつくっておくのもよいでしょう。

  2. (2)離婚後の住居を確保する

    資金の確保と同時並行で、離婚後に住む場所も探しておきましょう。専業主婦ではなかなか賃貸アパートの審査に通ることもままならないかもしれませんが、親きょうだいの名義で借りる、保証会社を利用するなどすれば選択肢も広がります。実家の近くに住む場合は、一時的に実家に身を寄せながら家探しをするものひとつの方法です。

  3. (3)子どもを連れて別居する

    資金と住居が確保できたら、子どもを連れて別居します。もし、DVやモラハラを受けている場合はできる限り早く家を出たほうがよいでしょう。

    親権争いになったときに、「経済力がない母親が子どもを養っていけるはずがない」と主張する男性もいます。しかし、離婚前に別居しておけば、そういった主張に対して自分ひとりでもきちんと子育てをしながら生活していけることを立証できます。

  4. (4)収入を確保する

    母親が親権を獲得しやすいとはいえ、生活基盤をつくるためには仕事をしないわけにはいかないでしょう。そのためにできるだけ早く定期的な収入を確保できる働き口を見つけることが大切です。

    今は母親の育児と就職の両立を支援するための「マザーズハローワーク」を置いている自治体も多いので、そういったところにまず相談に行くのも良いでしょう。保育者のいるキッズスペースを利用できたり、ベビーカーを隣に置きながら求人検索ができたりするところも多くあります。マザーズハローワークでは、就職の相談・支援だけでなく、保育所などの情報提供もすべて無料で受けられるので、積極的に利用してみましょう。

  5. (5)婚姻費用や財産分与を請求する

    離婚前に別居した場合は、離婚成立まで、婚姻費用という生活費を相手方に請求することができます。衣食住だけでなく、教育費や医療費も請求可能ですが、婚姻費用の分担割合はさまざまな事情を考慮の上決定されます。もし、折り合いがつかなければ、家庭裁判所に婚姻費用分担請求の調停の申立てを行い、調停委員会の仲介のもとで協議を続けることとなります。

    また、離婚時には財産分与も受けることができます。今まで夫婦で築き上げてきた財産は、共有財産として分与の対象となります。専業主婦の場合でも、労働者の夫を支え財産形成に貢献したとして一般的に50%の取り分が認められています。

  6. (6)養育費を請求する

    女手ひとつで子どもを養っていくためには、相手方からの養育費が欠かせないという場合もあるでしょう。その場合、離婚後の子供の生活費として養育費も相手方に請求できます。養育費の金額も、子どもの年齢や人数などに応じて決定されることになりますが、協議が調わない場合は家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立て、引き続き裁判所で話し合いを行います。

  7. (7)非監護親との面会交流を行う

    専業主婦が親権を獲得するためには、非監護親(父親)と子どもの面会交流に協力的であることもプラスになります。月に1度など、子どもにも無理のないペースで定期的に父親と会える機会を作りましょう。非監護親が遠方に住んでいるなどで定期的に会うことが物理的に難しい場合は、普段は電話やメール、手紙などでやり取りを行い、年に1~2回は会いに行く、もしくは会いに来てもらうのも良い方法です。

5、まとめ

専業主婦が離婚の際に親権を得ようとすると、相手方から「自分には定期的な収入があるから、子どもは自分と暮らすほうが幸せなはずだ」「実家の親のサポートがあるから、子どもの世話も十分できる」などと主張されることもあります。

しかし、冒頭でご紹介した母親側が親権を持つ割合の数字が示すとおり、親権者の決定には収入の多寡はあまり関係がありません。大事なのは、どちらと暮らす方が子どもにとって幸せかということです。専業主婦であれば、子どもと過ごす時間が必然的に長くなるので、情緒的な結びつきもできてくるので、親権争いでは有利になりやすいと言われています。

もし、専業主婦でも離婚して親権が獲得できるかどうか不安なときや、実際に夫と親権争いになっている場合は、お早めにベリーベスト法律事務所 那覇オフィスまでご相談ください。お客様のお話を伺い、代理人として配偶者の方と婚姻費用や養育費について交渉をしたりするなど、全面的にサポートいたします。小さなお子様連れでももちろん構いませんので、親権のことで困ったときには、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスまでお気軽にご来所ください。
>前編はこちら

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています