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発注元の企業が一方的に契約解除! 受注側は損害賠償を請求できる?

2020年10月22日
  • その他
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発注元の企業が一方的に契約解除! 受注側は損害賠償を請求できる?

那覇市のレンタカー会社が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、2020年3月に民事再生法の適用を申請したという報道を見聞きした方もいらっしゃることでしょう。
新型コロナウイルス感染症によって、苦境にたたされている会社は少なくありません。

こういった状況から、発注者の資金繰りの悪化などにより、一方的に契約解除されるといった事態も懸念されます。そのような場合、受注者が損害賠償を請求できるのであれば、損失 を穴埋めできる可能性があります。

本コラムでは、契約解除、損害賠償請求はどのような場合にできるのか、また、一方的に契約を解除されてしまった場合に損害賠償請求ができるのかについて、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士が解説します。

1、契約には法的拘束力がある

A社がB社に「○○円で△製品を作ってほしい」と依頼しB社が承諾すれば、契約は成立します。通常、企業間の取引では契約書が作成され、細かい契約内容が記載されます。
当事者は、原則として契約書に定められた内容を守らなければなりません。
そのため契約書に解除についての条項があれば、基本的にその条件に従った契約解除が認められます。ただし、契約書に解除についての具体的な記載がない場合でも、債務不履行や契約不適合責任といった法律で規定される解除原因がある場合には解除が認められます。

つまり、契約には法的拘束力があるので、契約や法律に定める一定の解除事由があるときにのみ一方的な契約解除が認められるといえます。

2、契約解除はどのようなケースで認められる?

続いて、契約解除の法的性質・効果と契約解除が認められるケースを確認していきましょう。

  1. (1)契約解除の性質・効果

    契約解除の法的性質には争いがあり、いくつかの学説・見解があります。
    少し難しく感じるかもしれませんが、結論としては「直接効果説」という学説・見解の立場にたって実務を運用していることを知っておくとよいでしょう。

    直接効果説は、契約解除をすれば「契約上の債権・債務がさかのぼって消滅する」と考える説です。契約上の債務がさかのぼって消滅するので、まだ残っている債務(未履行債務)があったとしても履行しなくてもよいことになります。

    また当事者は、既に履行された債務について、お互いに契約前の状態に戻すように請求(原状回復請求)することができるとされます。

  2. (2)債務不履行による契約解除

    債務不履行(契約違反)は、典型的な契約解除の原因になります。

    契約では、当事者に債務を履行する義務が生じますが、その義務を果たせなければ債務不履行になります。契約の違反類型は、履行遅滞・履行不能・不完全履行の3類型に分けることができます。

    なお、債務不履行による契約解除については、2020年4月1日に施行された改正民法によって従来とは取り扱いが異なる部分があるので注意が必要です。

    従来は、債務不履行による契約解除をするには、債務者の帰責事由が必要とされていました。
    しかし民法改正によって、債務者に帰責事由がない場合でも債権者は契約解除ができることになりました。ただし、その債務不履行が、債権者に帰責事由があるものであれば、契約解除は認められません。

  3. (3)契約不適合責任による契約解除

    民法改正により、瑕疵(かし)担保責任の概念が「契約不適合責任」に代わりました。

    「契約不適合責任」とは、契約内容に適合しない目的物が引き渡されたときに生じる責任です。
    契約不適合責任は、「追完の請求」「代金減額請求」「損害賠償請求」「契約解除」の4つの形で追及することが認められています。契約解除は、契約内容に適合した物の引渡しを催告するなど、一定の条件を満たす場合に可能とされています。

    もっとも、社会的通念に照らして軽微な不適合である場合には、契約不適合責任として契約解除を行うことは認められていません。

  4. (4)請負契約における契約解除

    請負契約については、注文主は請負人が仕事を完成する前であれば、いつでもどのような理由でも契約解除が認められることが民法上規定されています。
    つまり、請負契約であれば、注文主の一方的な解除も違法ではありません。

    ただし、請負人に一切の落ち度がないにもかかわらず契約解除されたときには、注文主に対して「得られたはずの利益(履行利益)」について損害賠償請求できます。

3、損害賠償はどのようなケースで請求できる?

次に、損害賠償請求の性質と損害賠償請求が可能なケースについてみていきます。

  1. (1)損害賠償請求の性質

    契約解除をすると、「契約上の債権・債務がさかのぼって消滅する」と考えることについては先ほどご説明しました。そのため突き詰めれば、契約解除することで「そもそも損害も発生しなかった」と考えることができてしまいます。そうであれば、契約解除によって、損害賠償請求ができないことになります。

    しかし、民法上、契約解除は損害賠償請求を妨げるものではないことが規定されています。
    つまり、契約解除があったときも、損害賠償請求は認められるということです。

  2. (2)債務不履行にもとづく損害賠償請求

    契約相手の債務不履行によって損害を被った場合には、信頼利益(契約が有効であると信頼したために生じた損害)について損害賠償請求が可能です。
    また、履行利益(契約が履行されていたら得られたであろう利益)についても損害賠償請求が可能です。

    ただし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などによる債務不履行は、不可抗力として免責されうるケースもあるので、弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。

  3. (3)契約不適合責任にもとづく損害賠償請求

    受注者に帰責事由がある契約不適合については、損害賠償請求が可能です。契約不適合責任の損害賠償の範囲についても、民法改正によって信頼利益に加えて履行利益も含まれることになりました。

  4. (4)請負契約の契約解除にもとづく損害賠償請求

    請負人に落ち度がない場合でも、注文主はいつでも契約解除することができます。しかし、この場合には、2(4)にも記載したとおり、注文主は請負人に生じた損害を賠償する義務を負います。

4、損害賠償はどのように請求すればよい?

損害賠償請求は、次のような方法で請求することができます。

  1. (1)契約の相手方に直接請求する

    契約解除にともない生じた損害賠償の請求は、まずは直接契約相手に行います。
    請求する際には、内容証明郵便などの証拠に残る書面などで行うようにするとよいでしょう。後に「請求した」、「請求されてない」といった食い違いが生じることを防ぐ効果があります。

  2. (2)民事調停で解決を図る

    契約相手に請求しても支払いを受けられない場合や、話し合いに応じてもらえない場合は、裁判所の民事調停の手続きを利用して解決を図る方法があります。

    民事調停は、裁判官1名と調停委員2名以上で構成される調停委員会が、当事者双方の主張を聞いた上で手続きを進めます。手続きが簡単かつ非公開で行われるため、利用しやすい手続きといえます。

    ただし、調停は、当事者同士の話し合いによる合意を目指す手続きです。そのため合意で きなければ、調停は不成立になります。

  3. (3)訴訟を提起する

    契約解除にともなう損害賠償請求は、訴訟を提起することも可能です。

    裁判では、裁判官が当事者双方の主張や証拠などから、どのような判決を言い渡すかを判断します。判決が確定すると、執行力のある「判決書」が作成されます。もし、損害賠償について不払いがあれば、判決書を元に裁判所に強制執行を申し立てることができます。

5、まとめ

本コラムでは、どのような場合に契約を解除することができるか、また、損害賠償を請求することができるか、という点について解説しました。なお、発注者から一方的に契約を解除された場合に損害賠償請求を検討できる場合があることも、既にご説明したとおりです。

ただし、特に企業間の契約については、請負側の立場が弱いなど、対等な話し合いが難しいこともあります。
そのような場合は、弁護士にご相談ください。弁護士であれば、あなたの会社の代理人として発注者である企業と交渉し、損害賠償を請求することができます。弁護士は、法的知見を元に正当な要求を主張することができるので、結果として当事者間だけで話し合うよりも、スムーズかつご相談者さまにとって有利な形で解決することが期待できるでしょう。

ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士は、契約解除にともなう損害賠償請求など、企業法務の分野にも精通しています。泣き寝入りすることなく、ぜひ一度ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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