【前編】勤務態度が悪い社員の対応をしたい! 必要な対策とは? 解雇はできる?
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「毎日のように遅刻する」「上司に反抗的な言動を繰り返す」「会社の備品を私物化している」「取引先とトラブルばかり起こす」。こういった社員の問題行動に、頭を悩ませていませんか?
会社の中に問題を起こす社員がいることは珍しくありません。とはいえ、解雇をすれば問題が解決するとは限りません。
沖縄県でも、米軍基地内で働いていた男性が上司に暴言を吐いたとして解雇されたのは不当と訴えていた裁判で、那覇地裁は2010年、国に対し解雇無効と賃金の支払いを命じました。国は控訴しましたが、福岡高裁那覇支部も「解雇権の乱用にあたる」として一審を支持しました。
このように会社が自己判断で一足飛びに解雇するのはリスクが高いのです。まず事実関係の確認と改善・解決をすることが大事です。
そこで今回は、勤務態度が悪い社員の対処法や裁判対策などについて、那覇オフィスの弁護士が詳しく解説します。
1、勤務態度が悪い社員の対応をする前に注意すべきこと
社員の問題行動は多少のことであれば周囲も我慢できるかもしれません。ですがそれが繰り返されれば、会社にとって良いことはありません。その場合はきちんと対処することが必要です。ただしその際には、気をつけておかなければいけないことがあります。
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(1)いきなり解雇するのは危険
社員の問題行動に不満が限界まできていたとしても、いきなり解雇するのは危険です。
事前にある程度の対策をしたり、手順を踏んだりしておかなければ「不当解雇」として社員から訴えられる可能性があります。
たとえ誰からみてもその社員に問題があったとしても、解雇に正当性がなければ、裁判で解雇無効となったり多額の賠償金の支払いを命じられたりする可能性があります。
まずは一度冷静になり、対策を練りましょう。 -
(2)社内ルールの策定・見直しが大事
問題のある社員の対応をするためには、まず社内のルール作りをしておくことが大事です。
具体的には、就業規則の策定・見直しです。
規模の小さい会社では就業規則を作っていないこともあるかもしれませんが、いざ問題が起きてからでは困ることになります。
社員を懲戒処分や解雇にする場合には、就業規則や雇用契約書などの根拠が必要となります。会社にとっても基準があれば、スムーズな対処につながるでしょう。
そのため早急に、懲戒処分や解雇などに関する規定を盛り込んだ就業規則を整備しておきましょう。また就業規則があったとしても、懲戒などに関する表記が曖昧であることもありますので、一度専門家に確認してもらい見直しを行いましょう。 -
(3)社員への周知を徹底
就業規則は作って終わりではありません。それを社員に周知し、いつでも見られるようにしておかなければ、せっかく作成しても無効と判断される恐れがあります。
またしっかりと内容を知らせておくことで、社員の問題行動の予防にもつながります。
社内システムで閲覧できるようにする、プリントアウトして社内で読めるようにしておくなどして、周知を徹底しましょう。
2、問題社員を解雇する前にしておくべき3つのこと
社員を解雇する前に、まずは改善・解決ができないか手を尽くしましょう。社員が態度をあらためてくれる可能性もあります。具体的には、次の3つをすることをおすすめします。
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(1)注意・指導をする
社員の行動や言動に問題があったら、まずは上司などからきちんと注意・指導をすることが大事です。
面倒と思うかもしれませんが、何もしなければどんどんと増長し、問題行動がひどくなるかもしれません。そもそもその社員は、自分の行動に問題があるということを認識していない可能性もあります。
まずは早めに指導をし、自覚・改善を促しましょう。
ただし一回注意した程度では聞く耳を持たないかもしれません。繰り返し注意したり、別の人間から指導してもらったり、ときには強い口調で叱責することが必要な場合もあります。社員の態度などを見ながら、適切な指導方法を探りましょう。
なお注意の記録は、業務日誌などに残しておくと、今後裁判や労働審判になった際に証拠として役に立ちます。
また口頭だけの指導ではなく、書面での指導も有効です。
口頭に比べて事の重大さが伝わりやすいため、本人も「そろそろマズい」ということに気づくかもしれません。社員を指導したという証拠にもなります。
こちらも一度だけでなく、繰り返し行いましょう。 -
(2)配置転換を検討する
注意・指導と同時に、社員の配置転換も検討しましょう。
周囲とのあつれきがあるのであれば、配置転換をすることで改善するかもしれません。また新しい部署や業務が本人に向いていれば、真剣に取り組むようになるかもしれません。
なおその際には、自身の勤務態度が配置転換の原因となっていることを伝え、自覚を促しましょう。
ただし配置転換をしても同じように問題を起こすのであれば、改善の余地は少ないということになりますので、次の一手を考えましょう。 -
(3)懲戒処分にする
繰り返し指導しても改善がみられない場合には、懲戒処分や解雇の可能性があるということを本人に伝えておきましょう
事の重大性に気づけば、改善に向かう可能性があります。またいきなり解雇すると本人も逆上してしまうかもしれませんが、「警告」をし、心の準備をさせておくことでトラブル防止も期待できます。
それでも社員の対応が変わらない場合には、懲戒処分を行いましょう。
就業規則に基づき、減給などの軽い処分から始め、改善されない場合には出勤停止や降格などの重い処分を課していきましょう。
後編では、勤務態度の悪い社員を解雇できるのかどうか解説いたします。
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