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「新・担い手3法」とは? 建設業者が押さえておきたい改正点

2020年09月04日
  • 一般企業法務
  • 担い手3法
  • 改正
「新・担い手3法」とは? 建設業者が押さえておきたい改正点

建設業は地域の暮らしを支える基幹産業であり、沖縄県でも5万2335人の方が就業しています(平成27年度国勢調査「産業(大分類) 15歳以上就業者数-県市町村」)。
しかし建設業界は、就業者の高齢化や長時間労働の常態化など、「担い手」を長期的に確保するためには解消しなければならない問題を抱えています。
このような背景を受けて、令和元年6月には「新・担い手3法」と呼ばれる法改正が行われました。
本コラムでは、「新・担い手3法」について建設業の経営者や担当者の方が押さえておきたい改正点を、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士が解説していきます。

1、「担い手3法」とは

「担い手3法」とは、「公共工事の品質確保の促進に関する法律(以下「公共工事品確法」)」と「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(以下「入契法」)」の一体的改正をいいます。

平成26年に、建設業の担い手の中長期的な育成と確保のための基本理念や具体的措置を規定する「担い手3法」が成立しました。
「担い手3法」の施行によって、予定価格の適正な設定・歩切りの根絶・ダンピング対策の強化・就業者数減少の歯止めといった成果がもたらされました。

2、「新・担い手3法」の概要

令和元年6月には、「担い手3法」による成果をさらに充実させるとともに、新たな課題に対応するための「新・担い手3法」が成立しました。公共工事品確法は令和元年6月14日に施行され、建設業法および入契法は6月12日に公布、一部の規定を除いて公布日から1年半以内に施行されます。

「新・担い手3法」は、主に次のポイントに沿った内容が見直されました。

  1. (1)働き方改革の推進

    建設業における長時間労働を是正し、処遇を改善するための内容が「新・担い手3法」に規定されました。

    平成31年に労働基準法が改正されたことにともない、時間外労働は原則として1か月45時間かつ年間360時間までと規定されました。そして特別条項でも上回ることができない、時間外労働時間の上限が設定されています。

    建設業においては、約5年の猶予を経た令和6年4月から、この上限規制が適用されることになっています。

  2. (2)生産性向上への取り組み

    建設業や公共工事の持続可能性を確保するためには、生産性の向上を図る必要があります。
    そのため「新・担い手3法」では、情報通信技術の活用や技術者に関する規制の合理化などによる、生産性向上への取り組みを規定しています。

  3. (3)災害時の緊急対策強化・持続可能な事業環境の確保

    地震や台風などの災害が頻発する昨今の日本では、災害時の緊急対応の充実が国土の復旧や復興に欠かせません。そのため緊急性に応じて、災害時の緊急対応が迅速に行えるよう適切な入札・契約方法を選択できるようにするほか、発注者との連携を図るなどの体制を整備する内容が規定されました。

  4. (4)調査・設計の品質確保

    公共工事に関する調査などの品質が公共工事の品質確保を図る上で重要な役割を果たしていることから、発注者や受注者の基本理念や責務についての規定が設けられています。

  5. (5)その他

    発注者の体制整備、工事に必要な地盤状況など、情報の適切な把握、活用のほか、公共工事の目的物の適切な維持管理などに関する規定も設けられました。

    発注者の体制整備では、発注関係事務を行う職員の育成・確保などの体制の整備や、国や都道府県の発注関係事務に関して適切なアドバイスができる人材の活用を促進する内容が規定されています。

3、「新・担い手3法」で押さえておきたい改正点

「新・担い手3法」について、建設業の経営者や下請けへの発注業務を行う担当者などは、特に次の改正点を押さえておくとよいでしょう。

  1. (1)建設現場の処遇改善

    ●長時間労働の是正
    長時間労働を是正するために、中央建設業審議会が建設工事の工期の基準を作成して実施を勧告できることとされました。

    注文者側は、著しく短い工期を内容とする請負契約を締結することは禁止されます。違反すれば発注者に対して、国土交通大臣から勧告が行われます。勧告に従わなければ、公表される可能性がある点も留意すべきでしょう。
    また建設業者側は、工事内容や工程ごとの作業内容、その準備に必要な日数を明らかにし、建設工事の見積もりを行うよう努めなければならないと規定されました。

    なお、請負契約の締結に際して、施工しない日または時間帯を定めるときは契約書面に記載しなければならないこととされています。

    ●処遇の改善
    建設現場の処遇改善を図るために、社会保険に加入していることが要件化される方向です。
    また元請けとなる会社は、下請け会社に支払う下請け代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払わなければならないことも規定されました。
    なお、銀行振り込みによる支払い、銀行振出小切手なども、現金として扱われます。

  2. (2)人材活用と環境整備

    ●人材の有効活用と若者の入職促進
    生産性を向上するために、本改正では工事現場の技術者に関する規定を合理化して人材の活用を図っています。
    元請け会社の「監理技術者」については、従来特定の工事現場への専任が求められてきました。しかし改正により「監理技術者」を補佐する制度が創設され、技士補がいる場合には「監理技術者」が複数の現場を兼任することが可能になります。
    下請け会社の「主任技術者」については、一定の要件を満たす場合には配置が不要になります。

    ●効率化促進のための環境整備
    建設業者が建設資材を積極活用して生産性を向上できるように、資材の欠陥によって施工不良が生じた場合には、国道交通大臣などが、建設資材製造業者に対して改善勧告や命令できる仕組みが構築されました。

  3. (3)持続可能な事業環境の確保

    ●経営業務管理責任者の基準見直し
    従来は、5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有する役員がいなければ、建設業の許可が得られませんでした。「新・担い手3法」では、経営能力に関する基準が見直され、下記の基準を満たしていれば、基準に適合しているものとして認められます。

    建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること



    ●事前認可によって円滑に事業承継できる仕組みの構築
    建設業者が事業の譲渡・合併・分割を行う場合、これまでは新しい建設業許可を取得しなければいけませんでした。そのため、許可が下りるまでの一定期間、営業ができない空白期間が生じてしまうという問題がありました。

    改正によって、事前に国土交通大臣または都道府県知事の認可を受けておくことで、建設業の許可を承継することが可能になりました。

4、会社の法律問題は弁護士に相談を

これまで「担い手3法」で押さえておきたい改正点をみていきましたが、会社の運営においてはさまざまな法律やその改正について押さえておくことが重要です。
しかし経営や日々の業務で忙しく、法律面までカバーしきれないと感じる方も少なくないものです。
そういった場合には会社に顧問弁護士を付けて法律に関わる分野は任せ、ご自身は経営や日々の業務に専念するのも一案でしょう。
顧問弁護士は、日々の業務で生じる法律トラブルの相談や請負契約書などのチェック、社内体制の構築など、会社の法律に関わる問題の解決を図ります。
また従業員や取引先とトラブルになった場合でも、顧問弁護士は法的に対処することができるほか、会社の代理人として話し合いや交渉を進めることも可能です。

顧問弁護士は、敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、ベリーベスト法律事務所では、皆さまがご利用しやすい顧問弁護士サービスを展開しています。ぜひお気軽にご相談ください。

5、まとめ

本コラムでは、「新・担い手3法」について建設業の経営者や担当者の方が押さえておきたい改正点を解説していきました。
「新・担い手3法」は、法律、制度によって施行する日が異なるので、今後の動向を注意深く見守る必要があります。施行間際になって焦ることのないように、大まかな改正点や改正の方向性を本コラムで理解し、より細かな対応は弁護士と相談しながら進めると安心です。

ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士は、請負契約の締結や法改正による変更点についてアドバイスができるほか、顧問弁護士として、事業に寄り添いながら日々サポートすることも可能です。
会社の未来を明るいものにできるよう、那覇オフィスの弁護士が尽力しますので、ぜひご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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