みだらな行為をした相手は高校生! 青少年健全育成条例違反になる?

2020年08月27日
  • その他
  • 青少年健全育成条例違反
みだらな行為をした相手は高校生! 青少年健全育成条例違反になる?

平成31年3月、沖縄県青少年保護育成条例が改正されました。
近年、青少年がSNSなどで知り合った大人から、自身の裸体などを撮影した画像をもとに脅されるといった被害が多発している現状を受けて、本改正では児童ポルノの提供を求める行為を禁止する規定を設けています。

いわゆる青少年健全育成条例は、このほかさまざまな行為について規制しています。
歓楽街のある那覇市においては、特に出会い系サイトやマッチングアプリ、リフレ店を利用した際などに、条例で規制されている年齢の女子と関係を持ってしまったといったことがないよう警戒すべきでしょう。

本コラムでは、いわゆる青少年健全育成条例がどのような行為を規制している法律なのか、逮捕された場合の流れや対策などについて、那覇オフィスの弁護士が解説します。

1、青少年健全育成条例とは

青少年健全育成条例は、都道府県ごとに制定している条例のひとつです。
沖縄県でも制定されているので、まずは青少年健全育成条例がどのような条例なのかを確認しておきましょう。

  1. (1)青少年健全育成条例の意義・目的

    全国の青少年健全育成条例は、第1条において「青少年の健全な育成を図り、これを阻害するおそれのある行為を防止し、青少年のための環境を整備することを目的とする」旨を規定しています。
    自治体によって条文の言い回しに多少の差はありますが、これが青少年健全育成条例に課せられた全国共通の意義・目的となっています。

    なお、以前は「青少年の保護」と表現している自治体が多数で、それに伴って名称も「青少年保護育成条例」と呼ばれていました。現在は「青少年の健全育成」と表現を改変している自治体が多くなっています。

  2. (2)沖縄県における青少年健全育成条例

    沖縄県における青少年健全育成条例は、昭和47年に制定されました。
    以後、平成31年までに合計で17回の改正が行われています。正式な名称は全国的な流れとは異なり「沖縄県青少年保護育成条例」です。

2、沖縄県青少年保護育成条例違反となる行為

沖縄県の青少年保護育成条例では、青少年の育成を阻害する行為を制限、禁止しています。
禁止する行為としては、次のようなものが挙げられます。

  • 深夜外出の制限、深夜における興行場等への立入禁止
  • 有害図書、有害器具類等の販売等の禁止(自動販売機を含む)
  • みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止
  • 着用済み下着等の買受等の禁止
  • 有害行為のための場所提供又は周旋の禁止  など

なお「有害行為」とは、みだらな性行為やわいせつな行為、覚せい剤や飲酒、喫煙などを行うことをさします。

禁止される行為のなかで、特に注意すべきは「青少年とのみだらな性行為・わいせつ行為の禁止」でしょう。
出会い系サイトやマッチングアプリを利用して青少年と交際し、みだらな性行為やわいせつ行為をはたらいた場合は、青少年保護育成条例違反として処罰されるおそれがあります。

なお、青少年保護育成条例が保護の対象とするのは18歳未満の者で、婚姻した女子は除外されますが男女の別を問いません。一般的に、性サービスなどは女子が対象となるケースが多いですが、男子に対してみだらな行為・わいせつ行為をはたらいた場合も条例違反となります。

青少年保護育成条例の規定に反して18歳未満の青少年にみだらな性行為・わいせつ行為をはたらいた場合、沖縄県では2年以下の懲役または100万円以下の罰金が規定されています。

3、青少年とのみだらな行為を罰する法律

青少年とみなされる18歳未満の者にみだらな行為・わいせつ行為をはたらいた場合、青少年保護育成条例違反となりますが、状況によっては別の犯罪に問われることもあります。

  1. (1)児童買春罪

    金銭の支払いや支払いの約束を結んで性交等に至る、いわゆる援助交際などは、「児童買春・児童ポルノ禁止法」における「児童買春罪」によって処罰されます。
    青少年保護育成条例における、青少年とのみだらな性行為・わいせつ行為とは「対価があったか」という点で区別されます。

    児童買春罪の法定刑は、5年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

  2. (2)強制わいせつ罪

    青少年に対し、暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をはたらいた場合は、刑法 第176条に規定されている「強制わいせつ罪」に問われます。
    注意したいのは、相手が13歳未満だった場合です。13歳未満が相手であれば、たとえ相手から同意を得ていたとしても強制わいせつ罪が成立します。

    強制わいせつ罪は、6か月以上10年以下の懲役刑が科せられます。罰金刑が規定されていないという点で、非常に重い刑罰だといえるでしょう。

  3. (3)強制性交等罪

    青少年に対し、暴行・脅迫を用いて性交・肛門性交・口腔性交をはたらいた場合、刑法 第177条の「強制性交等罪」に問われます。

    平成29年に、刑法が一部改正されるまでは強姦(ごうかん)罪と呼ばれていた犯罪で、5年以上の有期懲役が科せられる重罪です。強制わいせつ罪とおなじく、13歳未満の場合は同意があった場合でも刑罰の対象になります。

4、淫行の相手も罪に問われるのか?

青少年に対してみだらな性行為やわいせつな行為をはたらいた場合、条例違反や児童買春罪などに問われるおそれがあります。

とはいえ、相手の同意があった場合や、むしろ相手から誘引されて行為に至った場合もあるでしょう。このようなケースでは、行為の相手となった青少年も、罪に問われるのではないかと思うかもしれません。

しかし、沖縄県青少年保護育成条例をはじめとする青少年健全育成条例は、青少年の健全育成・環境整備を目的として制定されたものです。たとえ青少年からの誘引を受けて行為に至った場合でも、条例には青少年を処罰する規定はありません。また、買春だったケースにおいても、売った側については罰則の対象とはなりません。
つまり、青少年が罪に問われることはないということです。

5、沖縄県青少年保護育成条例違反で逮捕された場合の流れと対策

沖縄県青少年保護育成条例で逮捕された場合、次の流れで刑事手続きを受けることになります。

●逮捕
警察署の留置場で身柄を拘束され、取り調べを受けます。

●送致
逮捕から48時間以内に検察官に身柄が引き継がれます。

●勾留
送致から24時間以内に起訴・不起訴が判断されます。この時点で捜査が尽くされておらず、判断ができない場合は、身柄拘束を延長するため勾留を請求します。勾留請求が認められた場合、原則10日間、延長を含めて最長で20日間の身柄拘束が続くことになります。

●起訴
勾留満期までに、起訴・不起訴が決定されます。刑事裁判で罪を問う必要があると判断されれば起訴され、不起訴になれば釈放されます。

●刑事裁判
被告人として、刑事裁判を受けることになります。

警察に逮捕されると、最長で23日間の身柄拘束を受けるおそれがあります。特に逮捕されてからの72時間は家族などでも面会できません。唯一、面会が許可されるのは弁護士のみです。弁護士に捜査状況を確認してもらうほか、取り調べに際してのアドバイスを受けるのが賢明でしょう。

また、弁護士を選任していれば、青少年側からの誘引があった、18歳未満であることを知らなかったなどの弁明について、具体的な証拠を捜査機関に提示することもできるので、勾留や起訴を回避できる可能性が高まります。
その他、強制わいせつ罪・強制性交等罪で逮捕された場合は、被害者との示談も重要になるため、弁護士を介して示談交渉を進めることが得策と言えます。

6、まとめ

沖縄県青少年保護育成条例の容疑で事件化されるおそれがある場合は、すぐに弁護士に相談して対策を講じるのが最善策です。

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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています