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失火罪と重過失失火罪の違いとは? 失火の刑事責任・民事責任を解説

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2020年06月24日
  • その他
  • 失火罪
  • 重失火罪
失火罪と重過失失火罪の違いとは? 失火の刑事責任・民事責任を解説

令和元年10月、沖縄県民にとって忘れられない大事件となったのが「首里城火災」です。那覇市消防局と沖縄県警察は、正殿北東側の漏電が出火原因ではないかと考え、捜査・検証を行っていましたが、最終的に出火原因の特定には至りませんでした。

首里城火災の報道において、「失火」という、日常生活のなかではあまり用いられることの少ない用語を見聞きされた方も多いでしょう。
失火とは「過失によって火事を起こすこと」であり、刑法に規定されている犯罪でもあります。令和元年の犯罪白書によると、日本国内で247件の失火が警察に認知され、86人が検挙されています。

不注意から火事を起こしてしまうと、失火罪・重過失失火罪に問われるおそれがあります。
本コラムでは、失火に関する罪の種類や刑事責任について、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士が解説します。

1、失火罪の定義と基本

まずは「失火罪」の定義と基本をみていきましょう。

  1. (1)失火罪とは?

    失火罪とは、刑法第116条に規定されている犯罪です。
    不注意などの過失によって火災を起こし、建造物や器物を燃焼させた場合に成立します。

    火災の原因は大きく3つにわかれます。

    • 化学反応や酸化、集光や落雷等の自然現象による「自然発火」
    • 人間が故意に火をつけて火災を起こす「放火」
    • 人間が過失によって火災を起こしてしまう「失火」


    「失火罪」は、人為的な不注意やミスによって人間が火災を起こした場合に成立することになります。具体的には、次のような態様が考えられるでしょう。

    • 火元を消し忘れて外出した
    • タコ足配線が原因で漏電、発火した
    • 天ぷら調理中に油の温度が高すぎて発火した
  2. (2)1項失火罪

    刑法第116条は、1項と2項にわかれています。

    1項に該当するのは、現住建造物および他人所有の非現住建造物を失火により焼損させた場合です。
    現住建造物とは、現に人が居住用として使用している建物を指します。自己所有・他人所有を問わず、いわゆる「住居」を失火により焼損させた場合は1項に該当し失火罪が成立します。

    また、人が居住用として使用していない場合でも、他人が所有している納屋・倉庫・店舗などの建物を失火により焼損させれば1項に該当する失火となります。
    また、建物のほか、電車・船舶などを失火により焼損させた場合でも適用されます。

    法定刑は50万円以下の罰金で、懲役・禁錮の規定はありません。

  3. (3)2項失火罪

    2項失火罪は、自己所有の非現住建造物、電車、船舶および建造物以外のものを失火により焼損させた場合は、2項失火罪となります。

    2項失火罪は、自己所有の非現住建造物または建造物等以外のものを失火により焼損させたことに加え、それによって「公共の危険」を生じさせた場合にのみ適用されます。ここでいう「公共の危険」とは不特定または多数の人の生命・身体・財産に対する危険が生じた場合に認められることになります。
    法定刑は、1項失火罪と同じく50万円以下の罰金です。

2、重い刑罰を科される失火に関する犯罪

失火罪は、主に不注意やミスといった過失にもとづく犯罪なので、法定刑が50万円以下の罰金のみと、他の刑法犯罪と比べると軽い刑罰が規定されています。
ところが、失火の原因や状況によっては、失火罪よりもさらに重い刑罰を科せられることがあります。

具体的には刑法第117条の2に規定されている「業務上失火罪」と「重過失失火罪」に該当した場合、いずれも3年以下の禁錮または150万円以下の罰金が科せられます。

  1. (1)業務上失火罪

    業務上必要な注意を怠ったことが原因の失火により建造物等を焼損させた場合、業務上失火罪が成立します。
    ここでいう「業務」とは、職務として火気を安全に取り扱う配慮が必要な巣社会生活上の地位に基づく事務を指し、具体的には次の職種などが挙げられます。

    • ボイラー取扱者
    • 溶接作業員
    • 調理師
    • プロパンガスの販売業者
    • ガソリンスタンドの給油スタッフ
    • 警備員  など


    たとえば、プロパンガスの取り扱いに過失があって失火に至った場合、プロパンガスの販売業者が失火させれば業務上失火罪が成立しますが、一般人が失火させた場合は成立しません。

  2. (2)重過失失火罪

    重過失失火罪とは「重大な過失」により失火させた場合に適用されます。

    重大な過失とは、文字のとおり「過失の程度が重い」ことを指します。
    刑法116条の失火罪は、過失の程度が重いとはいえない事案で成立する犯罪のため、重い刑罰を科されることはありません。
    ところが、わずかな注意を払えば失火による物の焼損という結果を防止できたはずなのに、著しい注意義務違反によって結果を発生させた場合は、重過失失火罪が成立し、失火罪よりも重い刑罰が科せられるのです。

    過失が「重大」であるか否かは、ケースに応じて判断されますが、実際には次のような事例で重過失が認められています。

    • 火がついたまま石油ストーブに給油し、タンクのフタが完全に閉まらないまま下に向けたため石油がこぼれて引火した
      (東京高等裁判所 平成15年8月27日)
    • 十分な距離がない狭い場所でダンボール箱を焼却し、消火を確認しないまま放置していたところ、後刻になって強風が吹き、物置・車庫・家屋に延焼した
      (東京地方裁判所 昭和58年10月13日)
    • 寝タバコが原因で火災が発生した
      (東京地方裁判所判決 平成2年10月29日)

3、失火を起こした場合の民事責任

以上のとおり、失火によって建物などを焼損させてしまった場合、失火罪に問われ刑事責任を負うことがあります。では失火罪が成立し刑事責任を負う場合、民事上の損害賠償責任も負うことになるのでしょうか。

  1. (1)失火により物を焼損させても原則として民事上の損害賠償責任を負わない

    民法第709条は、故意または過失による不法行為によって他人の権利・利益を侵害した場合、損害賠償責任を負うと定めています。
    この規定に従えば、失火により物を焼損させた場合は、過失により他人の権利を侵害した場合に当たるので、民法709条によりは民事上の損害賠償責任を負うのが当然のように感じられます。
    しかし、たとえば他人の住宅を焼損させてしまった場合でも、それが失火によるものであれば民事上の損害賠償責任を負うことは原則としてありません。

    これは「失火ノ責任二関スル法律(通称:失火責任法)」の規定によるものです。
    従前、わが国では、木造家屋が多く、失火によりそれらの木造建造物が全焼するという事例が多く発生していたことから、失火を起こした人が多額の損害賠償責任を負うことがないよう規定された救済的な立法だといえます。

    なおアパートの賃借人などは、賃貸借契約上の義務として、賃借した部屋を、契約終了後は大家に返還する義務を負っています。それにもかかわらず賃借人が、失火によりアパートを焼損させ、大家に賃借した部屋を返すことができなくなった場合には、賃貸借契約上の義務の不履行として、当然、大家に対して損害賠償義務を負うことになります。

    上記の失火責任法によって、損害賠償責任を免れるのは、建造物等の賃借人などではない赤の他人が、その建造物等を失火により焼損させた場合に限られます。

  2. (2)重過失の場合は賠償責任を負う

    失火責任法は、失火につき軽度な過失がある場合のみ適用されます。
    失火につき重過失または故意が認められる場合、失火責任法による保護は受けられず、民法の定めに従って損害賠償責任が負うことになります。

4、失火で人を死傷させた場合の刑事責任

過失が原因の「失火」につき失火罪が成立するのは、住宅などの建造物等を焼損させたに留まる場合に限られます。
たとえ失火であっても、人の身体・生命に危害が加わった場合は、失火罪とは別の犯罪が成立することになります。

  1. (1)過失致死罪

    失火で人が死亡した場合には、刑法第210条の「過失致死罪」が成立します。
    体表のやけどや天井・壁の崩落、熱い空気を吸い込むことで起こる気道熱傷などのほか、煙による中毒症でも死に至ることがあります。
    法定刑は50万円以下の罰金です。

  2. (2)業務上過失致死傷罪

    人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、人の生命・身体に危険を生じさせうる行為を行うものが、その行為にあたり必要な注意を怠って、失火を生じさせ他人を死傷させた場合、刑法第211条に規定されている「業務上過失致死傷罪」に問われることになります。
    法定刑は5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です。

    ただし、失火による死傷の場合、多くは重過失致死傷罪が適用されるため、業務上過失致死傷罪が適用される例は多くありません。

  3. (3)重過失致死傷罪

    重過失により失火を起こして他人を死傷させた場合、刑法第211条後段の「重過失致死傷罪」が適用されます。
    法定刑は業務上過失致死傷罪と同じく5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です。

    平成30年12月、不要となったスプレー缶120本を廃棄する目的で不動産会社の店舗内で大量に噴射し、その後に給湯器をつけたため爆発火災を起こした事故では、40人を超える負傷者が発生しました。この事故では、不動産会社の店長を勤めていた男が重過失傷害罪で在宅のまま書類送検されました。

5、まとめ

不注意やミスによって思わぬ火災を引き起こしてしまうと、刑法第116条に規定されている「失火罪」に問われるおそれがあります。
また、火気を安全に取り扱う配慮が必要な職種の者が、過失による失火により物を焼損させれば「業務上失火罪」、その過失が重大であると判断されれば「重過失失火罪」に問われるケースもあります。

失火罪の法定刑は罰金刑のみですが、業務上失火罪・重過失失火罪では罰金がさらに高額になるだけでなく、懲役刑に処されるおそれもあることは知っておくべきでしょう。

失火により物を焼損させれば、刑事責任を問われ、身柄を拘束されることもあります。
また、重大な過失があると判断されれば、民事上の損害賠償責任が生じるリスクもあるため、早急に弁護士に相談して対策を講じるべきです。

ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスでは、失火事件を含めた刑事事件の弁護・解決実績が豊富な弁護士が、失火を起こしてしまった方を全力でサポートします。
失火に重大な過失がないことを証明する具体的な証拠を収集し、刑罰が重たい業務上失火罪や重過失失火罪に問われないよう弁護活動をおこないます。

失火事件を起こしてしまい不安を感じている方は、早急にベリーベスト法律事務所 那覇オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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