離婚協議(離婚の話し合い)が進まない場合にとるべき行動とは?

2024年05月23日
  • 離婚
  • 離婚協議
  • 進まない
離婚協議(離婚の話し合い)が進まない場合にとるべき行動とは?

沖縄県は離婚の割合が高い県といわれますが、実際に令和4年の人口動態統計によると離婚率は2.13で、20年連続全国1位でした。離婚件数は減少しているものの、依然として沖縄県の離婚率は高い傾向にあることがうかがえます。

日本では、離婚協議(話し合い)によって、離婚を成立させるケースが大半を締めます。つまり離婚する大部分の夫婦が、裁判所を利用せずに、話し合いで離婚を決めて離婚届を提出しているということです。しかし、離婚における話し合いは、スムーズに進むとは限りません。

では、協議がスムーズに進まないときは、離婚に向けてどのように行動すべきなのでしょうか。

本コラムでお伝えすることは、大きく以下の3つです。
・協議離婚の概要や期間
・協議離婚の進め方や、スムーズに進まない時に取るべき行動
・相手が拒否していても、離婚はできるのか

離婚について悩まれている方に向けて、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士が解説します。


離婚・男女問題を那覇の弁護士に相談 離婚・男女問題を那覇の弁護士に相談

1、離婚協議とは?

離婚協議とは、法律上の夫婦が婚姻関係を解消するために行う話し合いです。

婚姻届を提出して法律上の夫婦になっている場合、婚姻関係を解消(離婚)するためには、原則として当事者双方が合意して役所に離婚届を提出しなければなりません。しかし夫婦の一方が離婚したいと思っていても、相手が離婚に合意しなかったり、離婚には合意していてもお金の問題や子どもの問題などの条件面で折り合わなかったりすることも当然あります。
そのような場合には、離婚に向けた最初の段階として、離婚協議で合意の形成を目指すことになります。

2、離婚協議の期間は決められている?

離婚協議は、いつまでに成立させなければならないなどと期間が定められているものではありません。
一般的には、数か月程度で成立することが多いようですが、あくまでも任意の話し合いなので、お互いが離婚に同意し条件もまとまるようであれば、極端にいえば即日で離婚することも可能です。

一方で、離婚協議の期間が定められているというわけではないために、いつまでも協議が進まないということも少なくありません。
たとえば、別居をしたようなケースでは、顔をあわせたくない、なるべく話したくないなどの感情面が優先されてしまい、協議そのものが進まなくなることもあるでしょう。また、相手が話し合いに応じないといたケースでは、状況が停滞してしまうということもあります。

3、離婚協議を進めるために考えたいこと

離婚協議がなかなか進まない場合や、これから離婚協議を進めたいと考えている場合は、まずは次のポイントを整理すると良いでしょう。

  1. (1)離婚の決意が伝わっているか

    離婚を切り出したものの、相手が「離婚するといってもしばらくすれば気持ちも変わるだろう」などと本気にとらえていないケースがあります。
    このようなケースでは、離婚を固く決意していることが相手に伝わっていないため、話をうまくかわされたり取り合ってもらえなかったりして協議が進まないことが考えられます。

  2. (2)相手が離婚したくないと思っている

    相手の「離婚したくない」という気持ちが強ければ、もちろん離婚協議は進みません。
    話し合いをしても、「離婚したい」「離婚したくない」とお互いに平行線で、先に進むことは難しくなります。このような場合、強固に意思を伝えるだけでは、話し合いの進展は望めません。こちらの言い分や意思を伝えつつも、相手の考えていることや不安点を知ることで協議が進展することが期待できます。

  3. (3)離婚後の生活に不安を感じている

    片方の収入で家計をやりくりしていたようなケースでは、他方が離婚後の生活に経済的な不安を感じていることで離婚協議に応じないことも考えられます。また子どもが幼ければ、ひとりで子どもを育てていくことや子どもへ影響を考えて、離婚協議を進めようとしない可能性もあるでしょう。

  4. (4)離婚条件に納得できない

    離婚自体には合意していても、親権や財産分与、慰謝料、養育費などの離婚条件に合意できないケースもあります。たとえば夫婦双方が「親権をどうしても獲得したい」と思っていれば、親権者が決まらない以上離婚もできないので、協議が進まないことになります。

  5. (5)離婚のタイミングをはかっている

    離婚や離婚条件に合意していても、さまざまな理由から離婚に合意するタイミングをはかっている可能性もあります。たとえば「相手だけがすぐに再婚して幸せになるのは許せない」「自分が経済的に自立できるまでは離婚したくない」「協議が長引けば、より有利な条件で別れられるかもしれない」といった思いがあることも考えられます。

4、離婚協議が進まない場合にとるべき行動とは

前章であげたような理由が背景にある場合、どうすれば良いのでしょうか。離婚協議が進まない場合にとるべき行動として、2つの対応方法が検討できます。

  1. (1)裁判所の手続きを利用する

    離婚協議が進まない場合には、裁判所の手続きを利用して解決をはかることができます。

    離婚については、いきなり裁判で離婚を求めることはできず、調停を申し立てなければならないことが法律で定められています(調停前置主義)
    そのため、まずは家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。調停では、調停委員を交えて話し合いを進めます。調停は当事者の合意を目指す手続きなので、離婚や離婚条件に双方が合意しなければ、調停は不成立になります。
    調停不成立の場合には、基本的に離婚訴訟を提起し、判決で離婚の可否を決定します。

    調停は、あくまでも話し合いによる手続きのため、自身にとって納得のいかない結論に至りそうな場合は合意せず、調停不成立として裁判による判断を求めることも可能です。しかし、裁判になった場合は、最終的な判決は裁判官が下すことになります。そのため、希望する結果にならない可能性もあるということを念頭に入れておかなければいけません。

  2. (2)弁護士に相談する

    離婚協議が進まないときには、弁護士に相談することが重要な選択肢のひとつになります。

    弁護士というと、裁判所での活動をイメージするかもしれません。しかし、弁護士の役割は、裁判所に限られるものではありません。

    まず、弁護士は代理人として相手との協議を進めることができます。相手が話し合いに応じない場合や、顔をあわせたくないといった理由で協議が進まない場合、弁護士が代理人となることで交渉が進むことが期待できます。

    また、お金の面や条件面で折り合いがつかない場合、弁護士は過去の裁判例や知見などを元に、現実的な条件を提示することが可能です。そして、協議で離婚条件に合意ができたときには、合意した内容を協議書や公正証書にまとめ、後日の紛争を未然に防ぐためのサポートまで行います。

    協議離婚を当事者間のみで進めようとすると、感情や思い込みによって、話し合いがこじれることも少なくありません。離婚の条件や進め方にルールや一般論はなく、それぞれの夫婦にあった対応が必要です。しかし、感情的にもつれた夫婦のみで進めるのは簡単なことではありません。
    そのため、協議離婚の場合も、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

5、相手が離婚を拒否していても離婚できる?

ここまで、協議離婚が進まないケース場合の対応策について解説してきましたが、相手がかたくなに離婚を拒否しているような場合は、最終的に裁判による離婚成立を目指すことになります。
裁判離婚において非常に重要となるのが離婚の理由です。裁判においては、民法第770条で規定されている「法定離婚事由」に該当する理由がなければ、離婚が認められることは難しくなります

法定離婚事由は、次の5つです。

① 相手に不貞行為があった
不貞行為とは、夫婦の一方が自由意志で配偶者以外の異性と性的な関係をもつことです。相手が不貞行為をしたことによって婚姻関係が破綻した場合は、法定離婚事由に該当します。
なお、不貞行為と婚姻関係の破綻には因果関係があることが必要なので、すでに婚姻関係が破綻しているときに不貞行為があったとしても法定離婚事由にはなりません。また不貞行為があったことを客観的に示す証拠も必要になります。

② 相手から「悪意の遺棄」をされた
「悪意の遺棄」とは、配偶者が正当な理由なく同居協力扶助義務を果たさないことをいいます。具体的には、理由なく勝手に家をでたり、反対に相手を追い出したりという行為が当てはまります。また生活するための費用を渡さない行為なども「悪意の遺棄」に当てはまります。

③ 相手が3年以上生死不明である
配偶者が消息を絶ってから3年以上生死が不明なときにも、法定離婚事由にあたります。
生死不明であることが必要なので、所在はわからないが連絡があるといったケースでは生存が確認されているので、法定離婚事由として認められません。

④ 相手が強度の精神病にかかり回復の見込みがない
相手が強度の精神病にかかって回復の見込みがない場合は、法定離婚事由になります。回復の見込みの有無については、裁判官が精神科医の診断を参考に判断します。
また離婚が認められるためには、配偶者の離婚後の生活にめどがたつことも求められます。

⑤ その他婚姻を継続しがたい重大な事由がある
①~④の事由には当てはまらないものの、夫婦関係を破綻させ、夫婦生活を継続することが難しいほどの事情がある場合は、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当します。実務上、裁判で多く主張されている事由です。

たとえば、ドメスティックバイオレンス(DV)やモラハラ、過度の借金、長期間の別居などの事情があるときには、該当すると判断される可能性があります。
しかし具体的に「婚姻を継続しがたい事由」に該当するかどうかは、それぞれのケースの事情にもとづいて判断されます。そのため、ご自身で判断するのではなく弁護士に相談し、アドバイスを受けることが大切です。

6、まとめ

離婚協議がこじれてしまうと、解決の糸口がみえず長期化することも少なくありません。離婚協議が進まない場合には、まずは何がネックとなり話し合いが進まないのかを整理すると良いでしょう。離婚協議が進まない場合、調停や訴訟も検討できますが、離婚成立までさらなる時間を要することになります。
そのため、まずは弁護士へ相談しアドバイスやサポートを得ることをおすすめします

ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスでは、離婚問題の解決実績が豊富な弁護士が在籍しています。地域に密着したアットホームな雰囲気ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。しっかりとお話を伺ったうえで、離婚成立まで二人三脚でサポートします。
おひとりで悩むことなく、まずはお話をきかせてください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています