家賃を滞納したときの相談先とは? 借金問題を解決する債務整理の方法
- 借金問題
- 家賃滞納
- 相談
借金が増え過ぎてしまい支払いに追われていると、家賃が支払えないという状況に陥ることも少なくありません。那覇市は、市営住宅への入居に関するルールをまとめた「市営住宅のしおり」に、家賃を3ヶ月以上滞納すると、住宅の明け渡しの対象となる旨が明記されています。
家賃を支払うことは当然だと分かってはいるものの、まだ大丈夫だろうと滞納を続けてしまう方もいるかもしれません。しかし、賃貸人と契約書を交わしている以上、家賃支払いは当然の義務であり、強制退去を求められても反論できない状況です。
本コラムでは、借金が原因で家賃滞納を続けてしまった場合どこに相談すべきかと、債務整理について、ベリーベスト法律事務所 那覇オフィスの弁護士がします。
1、家賃滞納から督促までの流れ
賃貸住宅の入居者は、不動産会社もしくは賃貸人などと交わした賃貸借契約書に記載された方法で、期日までに家賃を支払う義務があります。最近では保証人不要物件も存在しますが、多くの場合、賃貸借契約書を交わす際に賃借人は保証人を要求します。保証人が見つからない場合、保証料を支払って保証会社に連帯保証をしてもらうケースもあるでしょう。
家賃支払いは入居者の義務であり、滞納し続けると最終的に強制退去を命じられます。また保証人の方にも迷惑をかけるばかりか、信頼をなくすことにもなりかねません。
では、家賃滞納をした場合、どのような流れで督促がくるのでしょうか。
●督促の電話や督促状が届く
家賃の入金が確認できないことの連絡と、支払いを求める通知がなされます。電話がかかってくる場合、書面で届く場合、直接訪問される場合などがあります。時期は不動産会社などにより異なり、1回の家賃滞納で連絡がくることもあれば、数回滞納を続けた後に連絡がくるケースもあります。督促は、家賃を滞納している限り複数回にわたって続きます。
●保証人への連絡
不動産会社などからの督促を無視し、家賃を滞納し続けていると、保証人や保証会社に連絡が入ります。
●内容証明郵便による督促状
再三の連絡にもかかわらず滞納を続けると、内容証明郵便で督促状が届きます。これは家賃支払いの督促だけではなく「賃貸契約の解除予告」であり、強制退去予告を意味します。
明確な決まりはありませんが、賃貸借契約の解除の目安は、家賃を3ヶ月以上滞納していることが一般的です。内容証明郵便は裁判になったときの証明にもなり、家主が法律にのっとって処理をしようとしている意思表示でもあります。
これにも応じない場合、建物明け渡し請求権に基づき、訴訟を起こされる可能性が高くなります。
2、家賃を支払うための対応策
家賃を支払わなければいけないことは分かっていても、膨らんだ借金の返済もあると、支払いは困難を極めます。そうなった場合は、強制退去になり、家を失うしか方法はないのでしょうか。
ここでは、家賃の支払いが困難になった場合の公的支援などについて解説します。
-
(1)住居確保給付金の利用
生活困窮者自立支援法に基づく支援である「住居確保給付金」を受けることで、賃貸住宅の家賃額を支援してもらう制度です。期間は原則3ヶ月ですが、要件を満たす場合にのみ最長9ヶ月まで延長されます。支給要件を満たせば、自治体から住居確保給付金を受けることができます。
-
(2)知人、親族からお金を借りる
家賃を支払うために、親類や知り合いなどにお金を借りて支払いを行います。家賃が支払えないと説明するのは勇気がいることです。しかし住宅がなくなると住所も失い、就業することも難しくなってしまいます。家賃を支払い、生活を立て直すことが大切です。借りたお金は、しっかりと返していく意思を示しましょう。
また、貸金業者からお金を借りて、家賃を支払うのは得策ではありません。さらなる借金を増やすだけで、問題の根本的解決にはならないでしょう。 -
(3)生活保護の申請をする
生活保護の申請は、お住まいの地域にある福祉事務所で行います。面談後、生活保護を受ける必要があると判断された場合に申請書を提出します。生活保護には、8種類の扶助があり、その中のひとつである「住宅扶助」によって、家賃援助を受けることが可能です。
ただし、生活保護を受けると、生活に一定の制限がかけられてしまいます。あらゆる手段をとっても生活ができないときの最終手段と知っておきましょう。
那覇市は、市役所の保護課で生活保護についての問い合わせや相談を受け付けています。申請する前に、相談するとよいでしょう。
いずれにしても現在の状況を説明し、家賃を支払う意思があることを明確にした上で誠実に対応することが大切です。
3、債務整理とは
家賃滞納で悩んでいる場合の解決法として、抱えている借金を整理し、家賃を支払うのも考えられる方法です。
-
(1)債務整理とは
債務整理とは簡単に言うと「債務=借金」を整理することを指します。債務整理の方法には以下の手続きがあります。
- 任意整理
- 人再生
- 自己破産
債務整理と任意整理は似た言葉ですが、債務整理の方法のひとつとして任意整理があります。任意整理については、後述します。
個人再生は、借金を大幅に減らすことが可能です。自己破産をすると、借金そのものをなくすことができます。これらは、借金を返すことが困難な状況になっており、家賃も含めた、すべての借金を整理したい場合に考えたい手続きです。
注意したいのは、個人再生と自己破産は、すべての借金が対象になることです。つまり、滞納している家賃も清算の対象になります。これらの手続きをしてしまうと、家賃を支払わないことになるため、立ち退きを求められる可能性は非常に高くなります。 -
(2)任意整理
任意整理とは、抱えている借金が比較的少ない場合にとられることが多い方法です。
支払い過ぎた利息(過払い金)と、将来の利息をカットすることで、借金を減らす方法です。支払い過ぎた利息とは、利息制限法で定められた利息より高い利息で借金をしていた場合に、利息分を戻してもらうことです。
あわせて、借金延滞による遅延損害金をなくしてもらうための交渉も可能です。
すべてが整理されると元金のみの支払いとなるため、返済の負担は軽減します。家賃の支払いも可能になるでしょう。また、戻ってくる利息分を、家賃分として充てることもできます。
任意整理は裁判所を通さずに当事者間、もしくは債権者と弁護士で行うことから負担が少ない方法だと言えるでしょう。 -
(3)家賃も任意整理できる?
滞納している家賃についても、法律上は任意整理の対象として扱うことが可能です。ただし、家賃には高い金利が設定されているケースはまれなため、メリットは少ないと言えます。
また、家賃を任意整理の対象にすると、大家さんから立ち退きを求められるリスクが高まります。本来支払ってもらえるはずだった家賃が減額される可能性があることに加え、家賃の回収も遅れることになるためです。
任意整理では、どの債務を対象にするかを選択することができます。現在住んでいる部屋に今後も住み続けたいと考えるのであれば、滞納した家賃は任意整理から外すことをおすすめします。 -
(4)弁護士に債務整理を依頼するメリット
債務整理は、弁護士に依頼することでスムーズかつ有利に進めることが期待できます。これには理由があります。
債務を滞納している当人と、支払ってもらえない債権者同士の交渉では、有利なのは後者です。債権者にとって有利な内容で、話し合いが進んでしまう可能性もあります。一方、弁護士に依頼することで、対等に話し合いを進めることができます。交渉によっては、借金自体の減額に応じてもらえることも少なくありません。
また、精神的に大きなメリットとなるのが、支払いの督促が一時的にストップすることです。ご自身が債務を抱えているとはいえ、督促が繰り返されると精神的ストレスになるものです。弁護士が送付した受任通知を債権者が受領した時点で、債権者は貸金業法21条1項9号の法律に基づき、直接請求することができなくなります。
4、まとめ
今回は、家賃を滞納した場合に起こる督促や、強制退去などのリスクについてご紹介しました。強制退去といった事態にならないためには、一時しのぎではなく、家賃滞納の原因ともなった借金を整理し、安定した生活を取り戻すことが大切です。「自分でどうにかできる」「まだ大丈夫」という安易な考えは捨てましょう。
借金が原因で家賃を滞納してしまっている方は、少しでも早くベリーベスト法律事務所 那覇事務所にご相談ください。借金のない、落ち着いた日常を取り戻すために全力でサポートします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています